完璧主義な性格の人に多い厄介な癖として先延ばし癖がある。
と言っても、「完璧主義なので少なくとも先延ばしはせず途中まではきっちりやるけど、結局完璧に到達するのが難しいと悟って中途半端な結果になるのでは?」とか「先延ばし癖ではなく、途中で投げ出す癖、逃げ癖を持っているのでは?」と考えるのが自然であろう。
しかし、その完璧にこなそうとする心持ちそのものが、先延ばし癖を引き起こす事がある。今回はこのことについて説明していこうと思う。
なお、この記事では主に仕事における完璧主義な人をイメージして書いているが、勉強や趣味・プライベートの場面でも当てはまる部分があるので、参考になれば幸いである。
目の前の仕事に妥協できずに時間を浪費する未来が見えて、怖くなり先延ばしにしてしまうケース
完璧主義な人は目の前にある仕事を完璧にこなそうとする…が、仕事に着手する際に仕事に対して妥協ができず、時間を浪費してしまう未来がぼんやりと見えて叱られる、顰蹙を買う未来が見えてしまう事がある。
とくに、過去に同じように妥協できずにスケジュール通りにいかなかった苦い経験がある完璧主義者なら、その時に経験が思い出されて恐怖で萎縮し、そのまま動けなくなってしまう事がある。
この行動こそが、完璧主義な人の先延ばし癖なのだ。
なお、この時に周囲の人に相談なり協力を頼めればいいのだが、完璧主義な人は自分ひとりで完璧にこなすことに拘る傾向があったり、昔で言うところの職人気質で頑固な部分のせいで他人の手を借りることを嫌がるケースもある。
なにより完璧な自分像に拘ることから、人の手を借りることどこかズルをしていて完璧ではないと捉えてしまうこともある。
そんな気苦労を勝手に自分で重ねて自分で自分を追い込むも、恐怖で手が動かず何もできないまま時間だけが過ぎていく状況をただただ続ける。こうなると、いくら能力の高い完璧主義者であっても、傍目には先延ばし癖のある無能力者とみなされる率が高まるのだ。
クオリティを上げるか下げるかで迷っている時間の多さが周囲から先延ばしと見られる原因になる
上からの続きになるが完璧主義な人に多いのが、長く考えすぎて手が動かなく癖だ。口でもなく、てでもなく、頭の中でウンウン悩んでいる状態が多く、その様子が周囲から見れば先延ばし癖と見られるのだ。
ちなみに、完璧主義な人がよく考えているのは
- スケジュールに仕上がるようにある程度クオリティ下げようか?(妥協案)
- スケジュールに間に合うか怪しいけど、めいっぱいクオリティを上げようか?(理想の案)
といった相反する二者択一の傾向がある。
もちろん、完璧主義な人に限らずこの手のクオリティを犠牲にするか否かについて悩むことは誰でもあると思うが、完璧主義な人は考える時間がとくに長くなる傾向がある。
長くなるのはそれだけ完璧であることに強いこだわりを持っている事が影響していると思うが、同時に自分の判断に対して責任を持つ覚悟の無さや、自分で完璧を捨てる事をどこか自分への裏切りと捉えてしまうことが影響していると私は推察している。
「自分の判断でクオリティを下げた」という事実を作らないために、あえて先延ばしするケース
完璧主義な人でもいつかは仕事に手を付け完了させなければいけないものである。
しかし、完了させるにしても「自分の判断でクオリティを下げた」という状態にするのは、完璧主義者の心に優しくないし、なによりプライド(ここでは虚栄心や自己愛の意味)が傷つく。
その傷つきを抑えるために、あえてその仕事を放置気味にほかの仕事に専念する。そして、期限が迫ったら放置していた仕事に着手する…という慢心のプロフェッショナルみたいな働きかたをすることがある。
傍目に見れば「先延ばしして自滅しているだけの人」なのだが、これは「バタバタしてて時間がなかったからクオリティが犠牲になっただけで、自分の判断でクオリティを下げたわけではない」という言い訳を作るためのやっているのだ。
この「時間がなかったから」という言い訳は仕事においてよく見聞きするものであるし、多忙であれば(人によっては)受け入れられやすい言い訳にもなる。
ただし、これは傍目にはサボりた怠け、動き出しが遅い、優柔不断と否定的な評価をされやすく、いくら本人が完璧にやろうという気持ちがあったと主張しても「だったらなんでもっと早くに着手しないの?」とか「時間の管理が下手なのにどうして直そうとしないの?」と容赦のないツッコミを入れられて閉口させられてしまうものであるので多用すべきではないのは明白である。
最後に
意識高い系な情報を見ている人なら「完璧主義より完了主義」というフレーズを見聞きしたことは一度ぐらいはあるだろう。
このフレーズはとくに私がクリエイティブ職という凝りだしたらキリがない仕事を続けている身としては「そうだよなぁ」と、しみじみ感じる事が多い。
いくら実力があっても完成し提出できなければ評価もされない。もちろん、合格点を超えたクオリティで提出するのは大前提ではあるが…
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