私がかつて住んでいた古い賃貸マンションの隣人(独居老人、以下Aさんとする)は、勝手に野良猫に餌を与えて中途半端に飼いならすという、ひじょうに困ったモンスター隣人だった。
しかも、軽度の認知症であるらしく、話が通じないし会話も成り立たない。そのため、いくら大家さん経由で野良猫の餌付けをやめるようにという張り紙や直接の警告をしても、全く歯が立たなかった。
今回は、そんな野良猫で苦しんだ頃の話を語ろうと思う。
野良猫に対して人目につかないところで餌付けさせていた
Aさん自身は、野良猫に対して堂々と餌をやることはなく、人目がつかないところや時間帯を狙ってキャットフードを与えていることがあった。
たまたま仕事が休日のときに、普段はマンションの住人が通らない1階の倉庫前の廊下にて、キャットフードを地面にばらまいているのを見かけ。その時、Aさんはこちらを睨むと同時にそのまま自分の部屋に帰っていった。
その後、もう一度同じ場所にいくと餌は猫が食べたのかなくなっていた。また、失礼を承知して共用の庭部分から確認できる範囲でAさんのベランダを確認したところ、野良猫用の餌置き場が設置されており、常習的且つ人目につかないように餌付けをしていることが伺えた。
軽度の認知症とは言え、完全に人目を気にしないまで症状は進んでいるわけではない。どことなく決まりの悪さや後ろめたさを感じているからこそ、人目につかない時間・場所で餌付けをしていたのではないかと推察している。
野良猫に名前をつけて可愛がっていた
またAさんは野良猫に名前をつけていて可愛がっていることが、隣に住んでいるときに伺えた。
土日で確認出来た話だが、大抵はお昼頃になると「みゃーちゃん」と呼ぶ声がしきりに聞こえた。野良猫なのに名前をつけて普通に飼っている猫と同じく可愛がっていることが伺えた。また、みゃーちゃんと呼ばれる野良猫以外には名前をつけている様子は無かった。
野良猫同士が喧嘩をしたときは「こらー!」と怒鳴る声も聞こえた。私はこの怒鳴り声が嫌いだった。ただでさえ勝手に餌付けしているのに、その餌付けのせいで困っている近隣住人がいるのに、野良猫同士喧嘩が起きているような状況を自分で生み出しているのに、どこか他人事のように野良猫に対して怒っている。
ヒステリックに怒っている声も嫌だったが、それよりもまず周囲の迷惑を考えずに自分勝手に振舞う姿に、強い嫌悪感を覚えたのだと私は感じている。
野良猫のせいでノイローゼ気味に
別の記事でも触れたが、野良猫には
- 糞尿による悪臭
- 普段から猫の鳴き声がうるさい
- 深夜に猫同士の喧嘩の声で起こされる
- ベランダに勝手に侵入
- ベランダの網戸やエアコンの管を爪とぎ用に利用されてボロボロにされる。
- 車に引かれて息絶えた猫の処理の手配
- 野良猫を怒るAさんの声の被害
といった被害を受けた。
日中はAさんの怒鳴り声でイライラさせられ、夜は野良猫の声や網戸を引っ掻く音、庭で喧嘩をはじめてドタバタする物音で何度も安眠の邪魔をされた。
その結果、私はマンションにいる間は常に気が立っている状況になってしまい、些細な物音でもイライラしてしまうようになった。
また、隣人のせいで昼も夜も落ち着ける空間ではなかったため、部屋にいるときはほぼ全ての時間でイヤホンをして大音量で音楽を流す…つまり、実質的に耳栓をするようにして自衛する生活をするようにした。
しかし、当然だがそんなことをしても状況は改善されないし、見たいテレビやネットの動画も気にせず見ることすらできないため、ストレスは募るばかりであった。
警察に通報せず大家さんに通報したが…
野良猫で困っている場合、ネット上では「警察に通報すればいい」という情報が多く見つかった。
しかし、私の場合はというと、むしろAさんが迷子になって警察のお世話になっている状況を2度ほど見ていたので、まずは大家さんに連絡するようにした。(そもそも、刑事ではなく民事案件なので、警察に通報するのはちょっと違うように感じたのもある)
大家さんはAさんへの警告や野良猫を罠で捕まえてマンションから遠い場所に連れて行くなど、必死に対応していただいた。
その結果、Aさんは一時は静かになった…が、また時間が経てば野良猫を飼いならすようになる。それも、前よりも目立たないよう小さな声(後に無事うるさくなる)で飼いならすようになった。
「怒られないようにこっそりやればいい」という目論見でもあるのかと思うぐらいに全く改善が見られなかった。
また、捕まえる方も野良猫がなかなか罠に引っかからずに難航。その上、勝手に繁殖して子猫が増えてしまい、ますます野良猫被害に拍車がかかってしまうという有様だった。
結局のところ、なかば私が折れる形で賃貸マンションから引っ越すことになった。この出来事以来、野良猫を見かけたり、野良猫餌付けする人を見かけると、強い嫌悪感を抑えられずにはいられなくなった。
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