HSPを自称で名乗っている人のSNSやyoutubeの投稿にある「HSP診断テスト」とやらを実際にやってみて感じたことだが、正直に言って誰にも当てはまるような項目や当てはまっていることにしとくと精神衛生上良さそうと感じられる項目が結構あった。
今回はそのことについて、個人的な見解を語ろうと思う。
HSPのチェックリストから感じるバーナム効果
何らかのチェックリストを試した時に感じる「これ、誰にでも当てはまりそうだな」という現象と聞くと、すこし心理学をかじった人なら「バーナム効果」を思い浮かべることだろう。
バーナム効果とは、誰にでも当てはまるような事柄を自分にだけは当てはまると感じてしまう現象を指す言葉で、わかりやすい例を言えば血液型占いや星座占いだ。これらの占いは当然科学的な根拠はないけれど、広く浸透して信じ込まれている。
ネット上でHSPの簡易診断をした結果「これ、私に全部当てはまる!」とか「今までわたしが感じていたことが、チェックリストに全部載ってた!」という声が多く見られたが、設問自体がバーナム効果で作られていると仮定すれば、そういう反応が出てくるのはある意味狙い通りであろう。
なお、私自身が実際に確認した中では…
緊迫した空気が流れていると、その場から離れたくなる
という設問は、「その場から離れたくなるのは自然なことでは?」と疑問を感じてならなかった。
他にも
誰かの怒りを感じるとたとえ自分に向けられていなくとも、ストレスになる
という設問も、同様に「これも自然なことでは?不機嫌な人と一緒にいて平気な人の方が珍しいと思う」という感想を持った。
さらに、
良心が痛んで後ろめたい気持ちになったり罪悪感を抱きやすい
という設問は、「むしろ罪悪感を抱かないと、色々と社会生活を送る上で苦労するのではないか?」とツッコミたくなった。
罪悪感がないと言えば、サイコパスやソシオパスといった概念が思い浮かぶし、仮にサイコパスなどの概念を知らないにしても、自分が社会から見て危険な人物だと見られないために、必然的に「罪悪感を感じる」という選択をしてしまうのではないかと感じる。
つまり、意図的にHSPであると誘導させるような設問であり、いくら簡易のチェックリストであっても、正確性や公平性が甘いのではないかと思う。
もしバーナム効果なら、HSPは占いやおまじない程度の信ぴょう性しかない
もし仮にHSPのチェックリストがバーナム効果であり、科学的根拠が乏しいものだと考えた場合、HSPは血液型占いや星座占いとおなじジャンルのもの。つまり科学ではなく、エンタメや娯楽の類として世間話で楽しむにとどめておく概念として利用しておくのが無難だろう。
しかし、現在のHSPは科学的な根拠があるとか、占いのような不確かなものとは断じて違う、という風潮で扱われているように感じる。
一応でも心理学の概念であるので、学問的な権威はあるとのことだが、その学問的権威がそもそも間違いであるのではないかという可能性、調査・精査不足で再考の余地ありという可能性も否定できないと私は思う。
「誰にでも当てはまって且つ信じると精神衛生上良さそう感」が危ない
また、チェックリストの中で気がかりだったのは、実際に当てはまるかどうかはさておき、設問内容に沿ったような回答をしておけば、精神的に気持ち良くなれる設問があったことだ。
例えば
- 真実が何かを見抜くのがうまく、ほかの人の欺瞞(ぎまん。人の目をごまかし、だますこと。)にもすぐ気づく
- 相手の裏をかいて、自分の言い分を通せると、満足な気分になる
という二つの設問がまさにそれである。
実際に自分が人を見抜くのがそれほど得意ではないし、そんな経験がなかったとしても、「この設問上では得意ということにしておけば、自分は有能で特別で他の人にはみられない才能のある人間だ」と感じられて満足感を得られる。
また、設問の上だけで相手の裏をかけるような人間であると回答しておくこともまた、自分には秘めた才能が人間だと思えることで感じられる優越感を味わえる。
という具合に、HSP診断の中には設問に書かれていることが出来る人間だと信じておけば、心の満足感・優越感が手に入る設問がいくつかあった。
これもまた、回答を意図的に誘導する要素であり、チェックリストとしての機能を果たしているようには思えない部分である。(考え過ぎかもしれないが)
憶測ではあるが、やたらと自称HSPの人が傲慢な態度をとったり、人の気持ちをわかったかのような態度を取る裏には、こうした甘いチェックリストをやってみていい気になったことが影響しているのではないかと思う。
実際に根拠があるかどうかはさておき、信じておけばメリットがありそうだという匂いがあるHSPという概念だからこそ、自称HSPな人はうざさ、めんどくささ、地雷臭を放っている人が多いのではないかと思う。