近所で老人を集めてセミナーをしていた催眠商法が行われていた時の話をしよう

悪徳商法
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カテゴリ「築40年賃貸マンション体験記」の記事で登場する賃貸マンションに住んでいた時、近所の空きテナントに突如ある業者が入ってきた。

そこでは食料品や日用品がタダ同然で手に入るとチラシやノボリで宣伝し、暇を持て余している近所の老人を集めていた。そして、ホワイトボードになんか健康に良さそうな図表を書いてセミナーっぽいことをしていた時期が大体3ヶ月ぐらいあった。

…これだけ書いて察しのいい人ならお分かりだと思うが、おそらくこれは「催眠商法(あるいはSF商法)」という名前で呼ばれている悪徳商法であろう。

 

主に平日の朝~昼を中心に老人を集めてセミナーを開催していた

催眠商法をしていた業者は、主に平日の朝~昼を中心に近所の老人を集めてセミナーをしているようであった。

ちょうどその時の私は、本業のほぼすべてが在宅で行われるようになっていて時間に融通があったために、営業している時間にテナントの前を通ることが何度もあった。

直接テナントの中に入って様子を確かめることは流石に怖くてできなかったし、老人ばかりが集まっている中で30手前の若造が入れば業者も異変に気づくであろうととが予想できたため、素通りするついで外から眺めているだけであった。

 

主に朝~昼に営業している理由は、おそらくだが普通に働いている現役世代や学生、若者を寄せ付けないためである。

つまり、暇を持て余した高齢者にターゲット絞るために、営業時間を平日の朝~昼に設定していたのだと分析している。

 

卵、食パン、砂糖が無料でもらえると宣伝して集客していた

また、営業していない夜間にテナントの窓に貼られていたチラシをよく見てみたが、そこには卵1パックや食パン1斤、砂糖1kgなどがほぼ無料(各10円ぐらいだったはず)でもらえると謳われていた。

業者によっては、ここに洗剤やティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの日用品が加わることもあるそうだが、この業者は主に食料品をほぼ無料で配っている模様であった。

なお、私が住んでいた地域は地方都市でありそもそも若者&現役世代の数が少ないし、昼間に出歩くことがあっても高齢者に出会うことがほとんだ。

おまけに、独居老人も多く近所にパチンコがあるなど、何かと老人がたむろしている地域であったため、出店する場所としては(皮肉だが)いい立地だったと感じている。

もちろん、催眠商法を肯定する趣旨は無いが、少なくとも催眠商法をする側もそれなりに知恵を巡らして、効果が高そうな地域を選んで営業を行っているということが理解できれば幸いだ。他人を騙すことで利益を挙げる人の悪知恵を決して舐めてはいけないと強く主張したい。

 

会社名を調べたが情報は出てこなくて怪しさ満点

またチラシの隅っこの方に催眠商法をしている会社の名前が記載されていたので早速検索してみたが、会社のホームページは見つからなかった。

また、会社に関する評判(悪評も含む)がないかを検索してみたが、それすらも見当たらなかった。更に念のため、帝国データバンクでも調べてみたが、該当の会社の記録は無かった。

当時の私はベンチャー勤めで、同じくベンチャーや中小企業と関わることが多かった経験もあってか、会社名を検索しても企業HPが出てこない時点で「怪しい」と直感的に感じた。そしてそれ以上に悪評すらないところに強い違和感があった。

これは私の憶測だが、そもそも商売の仕方に問題があるため催眠商法を続けるにしても、定期的に会社を潰しては立ち上げて…という流れをくり返して名前を変更し続けている。その結果企業HPはおろか悪評すら出てこない状態なのではないかと考えている。

また、これも憶測だがこうした催眠商法をし続けている責任者に矛先が向かないように、あえてチラシに企業名を載せている。責任者の名前が出てこない以上、足取りを追う情報は会社名しか存在しないが、その会社が検索しても全く情報が出てこない。

いわば、会社名は検索してまで調べてくるような執念深い人たちへの囮であり、会社名で調べ続ける以上責任者の方に注目が行かない仕組みになっている…とも考えられる。

 

3ヶ月程度すぐ空きテナントになって、催眠商法屋は消えた

案の定この業者は3ヶ月するかしないかで突然姿を消してしまい、元通りの空きテナントになっていた。

業者がいなくなる前に、外から確認できた範囲ではホワイトボードにサプリメントの効能を謳っている文言が書かれており、おそらく健康に効くと言われている高額サプリメントを売ることが最終目的だったのではないかと推察している。

なお業者によってはこれが布団や枕などの寝具であったり、健康に効果のあると言われているブレスレットなどの霊感商法も混じったものを売りつけられる例もあるそうだ。

しかし、サプリメントであれば仮にその場で買ったとしても身軽だし、簡単に家まで持って帰れる。また、サプリメントの容器が小さいとか、サプリメントそのものが少数(ただし高額)であれば、家に持ち帰っても家族に「何買ってきたの?」と見つかって詰問される可能性も下げられる。

ただ、私が住んでた地域は独居老人が多かったので、家族に気づかれる可能性は少ないとは思うが、それでもなお催眠商法に騙されたことを周囲の人に勘付かれないようにする戦略には、ちょっと関心してしまった。(※重ねて書くが、もちろん私は悪徳商法を肯定するつもりは微塵も無い)

 

今後も催眠商法は増えていくのではという懸念

今後も人口減少で若者・現役世代が少なくなる地域が増えてくる。そして、新型コロナの影響で健康への関心が高まるであろうことが容易に予測できるからこそ、この手の催眠商法を行う人は増えてくるのではないかという懸念がある。

また、今は主に高齢者がメインターゲットになっているが、いずれは子供を持つ主婦や健康が気になりだした中高年、更には若者もターゲットにされてしまう可能性は必ずしもゼロではないと考えている。