断れない人は優しい…と思わない理由について語る

人間関係・コミュニケーション
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よく「他人からのお願いや申し出を断れない人は優しい」という類の意見が巷で言われることはあるし、一般論として「断れない人=優しい」と考えるのは自然なことであろう。

しかし、私一個人としては、この手の断れない人は優しいというような善人の印象を持つのは難しい…と思うのが正直なところである。

もちろん、本当に優しいがゆえに断れない人もいるとは思うが、必ずしも「優しいから」で結論づけていいと思えないケースもあるように思う。

今回はそんな「断れない人は優しい」論について語っていこうと思う。

 

他人に判断を委ねていて優しいというよりは「ものぐさ」と表現したほうがふさわしい

私が思うに、断れない人は優しいのではなく、自分に関わることを自分の責任で決められない。

そして、責任を背負う覚悟がないために、できることなら他人に判断を委ねて流されるように生きていきたい…というような、ある種の「ものぐさ」な部分がある人だと思う。

この手のものぐさな人にとっては、相手の申し出を断るという行為は、自分に関わることを自分の責任で決めて背負い込む…という慣れないストレスを抱える行為に等しい。

しかし、申し出を断わらず相手のいいなりになっていれば、すくなくとも「これは自分一人の責任ではなく相手の責任だ」と責任転嫁できるので、一種の気楽さがある。

おまけに、「自分に関わることを自分の責任で引き受けられないものぐさな人間である」という事実から目を逸らしてくれる「他人の申し出を断れない優しい人」という印象で自分を飾ることもできる。

そういった部分に甘えているように感じるからこそ、私は「断れない人は優しいというよりはものぐさ」と思うのだ。

 

他人に判断を委ねているのに不満や愚痴を漏らす場合は「優しい」という印象は持ちにくい

また、この手の断れない人の中には、他人に流されるような生き方をしているわりには「振り回されて辛い」「他人軸を辞めたい」「こんなに優しいのに理解されない」と不満や愚痴を漏らすことが目立つ。

そういう姿勢を見ると、「「優しい」という印象を持つのは難しいな」と思う。

自分で自分の判断に責任を背負うこともしないくせに文句はしっかり言う。まるで「今日の晩御飯何が食べたい?」と聞いてきた人に「なんでもいいよ」と言ったくせに、いざ「中華料理にするね」と言ったら「今日は中華って気分ではない…」と文句を言ってしまい、場の空気を悪くしてしまう人のようである。

 

断れないのではなく自己保身が強く自己中心的である

私が思うに、断れない人は「相手を傷つけたくない」のではなく「自分が相手を傷つけたと周囲から思われたくない」という気持ちが強い。

要するに自己保身が強く自分のことしか見えていないので、優しいという印象を抱きにくいという話なのだ。

ただ、当の本人は自分が自己保身の強い人だと思っているようには見えないし、ましてや「自分は自己保身が強い」だとか「自分のことしか見えていない」と認めるだけのストレス耐性があることは稀である。

一般的に「自己保身が強い」も「自分のことしか見えていない」もいい意味で使われない。とくに、いい年した大人であれば未熟さや子供っぽさに繋がるものなので、ストレートに受け止めることは難しい。

しかし、同じ状況を「断れなくて優しい人」と脳内変換すれば、ストレートに受け止めることは簡単になる。

優しいという曇りなき善。自己犠牲を厭わないボランティア精神。そして他人のことを考えられる共感性の高さ…といった印象になるので、喜んで受け止められる。

そうして、実は自己保身が強く自分しか見えていないのに、そんな自分のことをどこか断れなくてよく損をしているいい人だと勘違いしている人が生まれるのではないか…と私は思う。

 

最後に

この手の断れない癖がある人は、自分の意見を伝える努力はしないが、自分の意見を汲み取るように周囲は配慮して欲しい…というような不合理な考え方をしていることが多い。

要するに、楽して自分の希望を叶えてもらうことを期待しているのが現実は期待通りにならずに不満になる。やがてそんな現実に嫌気がさして、人間関係をリセットする…という、自分を改善しなくていい楽な方向に流れてしまうことがある。

当然楽な方に流れたままでは、自分の意見を相手に伝えるコミュ力、ひいては相手とちゃんと話そうという気力も姿勢も身につかないまま。当然、断れない癖も依然として改善されないままになりやすい。

まぁ、えてして断れない人は優しいという印象があるからこそ、こんな強い主張をぶつけられることはないものだし、優しい人を追い込むような真似をする人の方が稀ではある。しかし、稀だからといって間違っていると私は思わはない。