「在宅勤務がずるい」という意見について在宅ワーカーの私が思うこと

テレワーク・在宅業務
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自粛生活を余儀なくされてから、業種によっては在宅ワーク(テレワーク)を導入しているところもあるだろう。

そんな中で、ひょっとしたら「在宅ワークは満員電車で疲れる事はないし、自宅で気楽にできるからずるい働き方だ」という具合の、やっかみや妬みに近い意見を他人からもらうこともあるかもしれない。

かくいう私も20代のうちから在宅ワークで生計を立てており、この手の言葉は生活の中ででかけられることが時々あった。

そんな私の経験も踏まえて「在宅ワークずるい論」について、個人的な見解をまとめてみる。

 

「在宅勤務がずるい」と思う理由は理解できるし否定しない

まず「在宅勤務がずるい」と主張する人の気持ちは、たいへん理解できる。

たしかに、在宅ワークによって面倒な通勤の時間もなくなった。そもそも着替えなくても仕事もできる。昼食代も浮く。職場に出勤して働いていた頃よりものびのびと働けるようになった。

その点においては「そんな楽な働き方ができるなんてずるいなぁ」と思われるのも無理はないと感じているし「在宅ワークはずるい」という意見を持つ人をむやみに否定する気にもなれない。

 

もちろん、在宅ワークには在宅ワークなりの辛さがあり決して羨ましく思われる働きばかりではないのは、私も実際に仕事をしている中でよく感じている。

ワークライフバランスなんて無視して働いている時もあるし、いつも仕事のことが頭の中にあって気持ちが落ち着かないまま寝ることもあるし、コミュニケーションにかかるコストが大きく実際に職場で口頭でやり取りしていた頃がいいなぁと思うこともある。

だが、そういった在宅ワークなりの辛さを口にして「だから在宅ワークはずるくはないし、あなたの意見は間違っている」とは絶対に言わないようにしている。

なんだか、どちらが悲劇のヒロインであるかを競いあている不毛な競争のように見えてしまうので、辛いところはお互いに認めつつ「まぁ、お互いに頑張りましょうね」と、なるべく穏やかなムードで会話が終わるように実生活では務めている。

変なところで同調圧力に反発せず、相手の意見を受け言れることもまた、一種のコミュニケーション能力ではないだろうか。

 

「在宅勤務がずるくないよ」と啓発するのも違うと思う

ちょっと話は変わるがネット上では「在宅勤務はずるくない!」「そんなに羨ましいのなら在宅ワークをやるべきだ」と強気の主張を口にして、在宅ワークの良さを広めようとしている人が多い。

私が見たところ、この手の新しい働き方をネット上で声高に主張する人は、いわゆるインフルエンサーと呼ばれる(自称含む)有名人や、ビジネス系youtuberに多く見られる傾向がある。

彼らがここまで在宅ワークの良さを強く主張するのは、会社員をはじめとした職場に出勤する働き方に辟易としている層を取り込みたいという目論見がある。

つまり、社畜生活に疲れて自由に働けて、あわよくば会社員時代よりも高収入を得られる可能性があるという胡散臭い情報に影響されてしまいそうなほどに、今の生活に不満がある層に届けたいがために在宅ワークのメリットを説いているのである。

実際に社畜生活でうんざりしており在宅ワーカー(フリーランス含む)に憧れている人からすれば、在宅ワーク神話を説くインフルエンサーの言葉は、非常に耳ざわりがよいものである。

しかし上でも述べたように、在宅ワーカーになったからと言って、必ずしも楽ばかりではないし、別の問題に悩まされる可能性もありうる。フリーランスの場合なら、実質的に下請け状態で、派遣社員のようにいいように使われる働き方から脱却できないことも平気で起こりうる。

私が「在宅ワークはずるくないよ」と言わないのは、胡散臭いインフルエンサーと同じタイプの人間だと思われたくないのもあるが、在宅ワークに憧れている人に変な夢を見させてしまい、結果その人を路頭に迷わせるような事をしたくないからである。

誰かの人生に大きく関わる事柄だからこそ、強い主張で在宅ワークに憧れている人を扇動するのではなく、冷静且つ説教臭さのある意見を述べることが人として大事だと感じているので、むやみに在宅ワークの素晴らしさを説かないテイストでこの記事を書いているのだ

 

他人からにやっかまれない為にも在宅ワークをしていることをあまり公にしない事も大事である

なお、ここからは実生活での話になるが在宅ワークのように楽だと思われやすい働き方をしている事は、特別な事情がない限りは話さないようにしている。

関わる人によっては「給料は仕事のストレスの対価だ!我慢料だ!」という考え方をしていたり、「汗水流さずに稼いだ金はとんでもない」とか「若いのに楽して金を稼ぐだなんて将来心配だわ」というような、苦労や我慢を美徳としている考え方を持っている人が思いのほか多いものだ。

特に私が若手であることも影響してか、関わる人の多くが自分よりも年上になるので、この手の苦労や我慢を美徳とする考えを持つ人に出会う事は、公私ともにそれなりにある。

もしもこの手の考えを持つ人に対して反論しても「何を若造が生意気な真似をしやがって」と思われてしまうし、不必要に波風立てるのは私としてはよろしくないと考えている。

もちろん、反論したい気持ちはあるが、反論したからといって相手が自分の事を素直に認めてくれるとは限らないし、正論を言われて相手が逆上するような事態になるのは面倒である。

 

結果、面倒事を起こさないためにも、なるべく在宅ワークをしている事は必要性がない限りは公私ともに言わないようにしている。

在宅ワークを始めた人の中には(自虐風)自慢のように在宅ワークの話題を口にする人がいるものだが、どこでどう人からやっかみを受けるかわからない以上、あまり口にしないのが賢明だと私は考えている。