フォロワーを増やしたい絵師及びクリエイターについて言いたいこと

クリエイター関連
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仕事柄いわゆる「絵師」と呼ばれる人と関わることが多い。その中でも、ほぼ高確率で「SNSのフォロワーを増やしたい」だとか「SNSでバズって有名になりたい」という具合に、SNSに関する話題を見聞きすることが、ここ数年で増えていると私個人的に感じている。

一応前職(絵とは全く関係は無い)で、オンラインショップの広報やSNS運用などの業務を行ってきた経験を元に、絵師含むクリエイターの多くが抱える「フォロワー数増やしたい問題」などについて、個人的な見解を以下に述べていく。

 

「フォロワー≠ファン」であるという可能性について

ここではSNSの中でもとくに絵師の主戦場であるtwitterを想定して説明する。

まず大前提として必ずしも「フォロワー=ファン」とは限らない。むしろ、「フォロワー≠ファン」ということもありうるのだと肝に銘じておくべきだ。

よく「フォロワー数が多ければ多いほどファンが多い」という類の話はある意味正しい…が、それだけでは説明足である。

フォローしている目的は何もクリエイターの活動を応援したいとか、支えて上げたいとか、”推し”たいというものばかりではない。

とくに目的もなくなんとなくフォローしているだけだとか、同業者だから一応義理としてフォローしているとか、何かの人気にあやかれそうだから一応フォローしておこうとか…というように、純粋に応援しているとは言い難い理由でフォローしている人の存在も当然いるものだ。

また、フォロワーの中にはほぼアカウントを使用しておらず実質的にフォローしたままの状態で放置されているアカウントが存在していることも珍しくない。そういうアカウントまでも「ファン」として換算するのが難しいことは、言うまでもないだろう。

そのほかにも、一人が複数のアカウントであるクリエイターをフォローしているというケースもある。純粋に見ればたくさんフォローされているが、実態は複数アカウントを使って水増しされているだけである。

このようにフォロワーの数だけでなくその中身を冷静に見ていくことが肝心である。

 

反応しないけど見ているファンの存在

tiwitterにおけるクリエイターのステータスとなりうるものはフォロワー数の他にもRTやいいねの多さである。

RTやいいねの数が多ければ多いほどクリエイターとして影響力や人気がある…という類の認識は、クリエイティブな仕事に関わっていない人であってもなんとなく肌感覚で感じているものだろう。

しかし、反応(数字)の大きさに尺度を置くやり方には重大な点が抜けている。

それは、反応していないけど作品は見ている…という数字としては見えないファンの存在である。(もっと言えばフォローしていないけど見ている人も含む)

どうもクリエイター(とくに絵師)の世界では、「RTやいいねなどの反応を残すひとこそ本当のファンである」というような価値観が支持されている光景を見かけることがある。

しかし、この考えは私個人的にはクリエイター側がどうもファンをなにかの消耗品として消費しているように見えることがあり賛同しかねる。意地悪な言い方をすれば「クリエイターたる自分のご機嫌取りをするのがファンである」と受け取られかねない危うさがある考えだ。(もちろん、商売としてやっていく以上、RTやいいねなどの数字を持っておくことが重要な場面もあるとは思うが…。)

 

話は変わるが、かつて私がオンラインショップの運営を仕事としていたとき、SNSの反応こそ鈍かったものの、サイトへ頻繁に訪問して商品を買ってくれている人の存在であったり、長時間に渡りサイトに滞在して商品を吟味しているであろう動きをしている人の存在をサイト解析で閲覧することがあった。

もちろん、この手の人は積極的にショップ側(要するに運営者)に対して「応援してます!」みたいなコメントを残すことはまず無いものだ。

ただ、リピーターとなって何度も商品を買っていることがあるからこそ「何か明確な反応こそ残さないけど、間違いなく当ショップのファンとしてカウントしていい」と私は感じた。(※もちろん、オンラインショップでなくリアルの店舗でも足繁く通う。だが、とくに店員さんと会話するわけでもなく、ただ商品を買う習慣がついている…というどこかの店のご贔屓さんになる経験は誰でもあろうかと思う。)

かつて仕事で上記のような経験をしたからこそ「反応がなくて辛い」と嘆いている人は、ひょっとしたら反応はしていないけど陰ながら見ている人の存在がいる…ということ頭の片隅にでも置いておくのが、精神衛生上良いと個人的には思う。

 

 

twitter運用・集客を謳う情報商材、コンサル、コーチングについては要注意すべき

基本的にイラストや漫画界隈では、金儲けに関する話題がタブー視されている‥と私は感じている。

この理由は、(私の推測になるが)イラストや漫画は現実逃避の色が強い娯楽の一種である。その中に「お金儲け」という現実味の濃い要素が入り込むと、途端に白ける、興ざめになる、心地よい夢から目が覚めてしまう…からだと考えている。

あくまでもクリエイターは演者として振舞うことが求められる。本当はビジネスマンだったとしても、それを多くの人が見ている前では隠して演者として振舞うのが暗黙の了解であり美学である…という文化がある…というのが私の主張である。

 

ただ、最近はイラスト界隈も「副業としてイラストを描いて儲けましょう」とか「twitterのフォロワーを増やしてイラスト系インフルエンサーになって稼ぎましょう」という意識高い系な文化を持つ集団がSNS上で散見されている。要するに、イラストや漫画界隈で堂々と金儲けに関する情報を発信するムーブメントが形成されつつあるのだ。

そういうムーブメントに乗じてか、イラストに関するtwitter運用や集客を目的とした情報商材やコンサル、コーチングなどを行うアカウントも出てきている。

しかし、私はどうもこのアカウントに対して良い印象を持てない。かつてブログアフィリエイトや仮想通貨、プログラミングスクールや独立起業&フリーランスを推奨する情報商材を売ったりオンラインサロンを作るなどしてダーティー且つグレーな金儲けをしていた面々と通ずるものがあるように感じるからだ。

要するに情報商材屋や胡散臭いビジネス系インフルエンサーの芸風と瓜二つなイラスト系インフルエンサーが参入してきているのだ。

そうしたクリエイター界隈の変化を見ると、私個人的には「イラストみたいな内情を知っていれば、決して大儲けしやすいとは言えない分野にまで、情報商材屋or情報商材屋かぶれが入ってくるまでになったのか…(呆れ)」という複雑な気持ちになった。

少なくとも、ろくな作品すら完成させてないくせクリエイターを名乗っているという妙な自己演出をするような人から学ぶことは、SNS上で教祖になることぐらいだろう。まぁ、そんなこと学ぶぐらいなら一つでも作品を完成させることの方が成長できるとは個人的に思うのだが。

 

絵師含むクリエイターが情報商材界隈と関わっている件について思うこと
一クリエイティブ職の端くれとして、普段から同業者がどのような方と交流をしているかどうかについては、それなりに神経を尖らしている。悪趣味は承知だが、私は同業者の交友関係を密かにネットウォッチするという趣味を持っている。 そんなウォッチ生...