自分の人生をコンテンツ化して切り売りすることの問題点について

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「自分の人生をコンテンツ化」と言っても、いまひとつピンと来ない人が多いと思うが、具体的に言えば

  • エッセイ漫画や文章を書く
  • ブログ・SNS・youtube等に自分の私生活を投稿する(=インフルエンサー業、youtuberなど)

というような、過去の自分の経験なり、日々の暮らしそのものを一種の商品として扱い収益を得ることは、今のご時世さほど難しい事ではない。

うまくいけば、芸能人のような影響力を持てたり、会社などの組織に勤めて働かずに済む…そんなキラキラとした生活が手に入る未来もあるためか、一部の人にとっては強い憧れを持たれているものだろう。

しかし、一クエリエイティブ職の端くれとして思うのは、自分自身をコンテンツにすることは決して楽ではない。それどころか、下手をすれば人間関係を全て現金化してしまうような、キラキラではなく利益のために常に目をギラギラとさせてしまう…そんな卑しさすらを身につけてしまうことすらもある。

今回はそんな人生をコンテンツ化して切り売りすることの問題点について、個人的な見解を述べる。

 

切り売りできる出来事には限度がある

まず、人生の切り売りそのものは無限にできるものではない。自分の過去を掘り下げるにしても、今の自分の生活を商品にするにしても、常にネタ切れの不安がついてまわるのだ。

また、安定した収益を得るためにはコンテンツを頻繁に製作していかなければいけない。つまり、自分の人生を素早く切り売りしなければならず、早々にネタ切れに直面することになるの。

今やネットがない時代と比べてアニメや漫画、ゲームやドラマなどの娯楽が消費されるスピード&サイクルは早いし、youtubeをはじめとした新たな娯楽は次々と登場している。

そんな娯楽コンテンツの大量生産&消費&入れ替えが当たり前の現代において、自分ひとりの人生という名のコンテンツをのんびり切り売りして、ちゃんと生活できるだけの確かな収益を立てていくのは非常に厳しいと言わざるを得ないのが現状なのだ。

もちろん、お小遣い程度でいいのなら、ゆっくり切り売りするやり方でも問題ない。しかし、その場合もネタ切れ問題が付きまとうのはいうまでもない。

 

 

面白さや数字、収益を求めるあまりに嘘を交えてしまうリスク

エッセイなどの人生切り売り型コンテンツは、ノンフィクションであることが商品としての魅力であり大きな価値という側面が大きい。ノンフィクションだからこそ、多くの人を引きつけたり、共感を呼び話題になるのが特徴的だ。

このことを知っているか知らないかはよくわからないが、人生切り売り型コンテンツで生計を立てようとする人の中には「(バレないように)ノンフィクションの人生切り売り型コンテンツを作れば売れる」という発想を持ってしまう人がいる。

つまり、自分の人生に過度な脚色を付け替えて事実とは異なるコンテンツを作ったり、事実と嘘をミックスしたコンテンツを作る。場合によっては全く嘘っぱちのコンテンツを作るなどして、人気に火を付けようとしてしまう人がいるのだ。

 

冷静に考えれば割と普通に生きてきた平凡な人の人生に、芸能人や著名人(プロスポーツ選手、作家など)のようなコンテンツとしての魅力であったり、人を惹きつけるようなカリスマ性があることの方が稀である。自分の人生に商品としての価値が乏しいのを理解している人ほど、目先の金のために嘘や脚色に頼らざるを得なくなる仕組みがあるのだ。

…まぁ、商品価値が乏しいのなら無理にコンテンツ化しなければいいだけの話なのだが、すでに退職なりして退路を絶ってしまった人ほど、ネット上で自分の人生を文章や動画などのコンテンツとして大げさに売り出しては、数ヶ月単位で消えていくことが多い。

 

 

他人に私生活を切り売りされることを恐れて交友関係が減るリスク

自分の人生を切り売りする中で、自分の交友関係をネタにすることも珍しくない。

しかし、この行為は非常に嫌な言い方をすれば人間関係を現金化している側面がある。つまり、金ほしさのために他人をネタとして消費する…という卑しい部分があるため、人によっては抵抗感や忌避感を覚えてしまうのだ。

とくに、ネタ切れを意識しだした人は、ネタ切れを回避するために自分の家族、友達、恋人、同業者・仕事仲間などに関するネタを持ち出すこともある。

こうなると自分のプライベートのみならず、他人のプライベートまでも自分の金儲けのために利用しするような危なっかしい人とみなされ、次第に交友関係が少なくなるのも無理はない。

ネタにされる方からすれば「自分は誰かの金儲けのために生活をしているのではない!」とか「金儲けのために自分のプライベートを不特定多数の人に公開するのは嫌だ!」とか「あなたはパパラッチか?」という感想を持たれるのも無理はないだろう。

 

 

youtubeに自分の私生活を投稿するVlogについての個人的な意見

最後に、主にyoutube上に自分の私生活動画を投稿する「Vlog」の問題点についても触れておこう。

  • 動画の中に自分の住んでいる場所が大まかに分かる情報(特徴的な建物、郵便物、マンホールのデザインなど)が映っていた場合、ストーカー被害に巻き込まれる可能性がある。
  • (住所が特定されたことに加えて)普段の生活内容から経済状況が分かってしまえば、強盗・空き巣の被害に巻き込まれる可能性がある。
  • 所属先(通っている大学や職場など)をうっかり公開してしまえば、所属先にいたずら電話などの迷惑をかけてしまうリスクがある。
  • 投稿した内容に問題があった場合、名前と顔が紐づけされてSNSなどで拡散され反永久的に残ってしまう。(=デジタルタトゥーを作ってしまう)

Vlogに限った事ではないが、自分の人生をコンテンツ化することは、言うなれば自分の個人情報を現金化していることと同じである。