HSPにクリエイティブ職がおすすめできない理由を語る

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最近はやりの繊細さん(HSP)だが、よく調べていくと「感受性の豊かさや芸術面での才能があるのでクリエイティブ職がおすすめ」というような、アフィリエイト臭のする読者に夢を見させる情報を目にすることが目立つ。

おそらく、ここで言うクリエイティブ職とは…

  • 文章スキルが活かせるもの。ライター、エッセイスト、作家。
  • デザイン、イラストレーター、漫画など絵に関する職業
  • youtubeなどの動画作成、編集業務
  • そのほかハンドメイド作家や音楽関連

というような、いわゆる「趣味や好きを仕事に!」というキャッチフレーズが似合いそうなものだ。

しかし、「繊細だからクリエイティブ職が天職」という理論は無批判に推奨できるものではない…と、フリーランスのクリエイティブ職として生計を立てている私はそう強く思う。その理由についてこの記事で説明していこうと思う。

 

クリエイティブ職でもコミュニケーション能力やチームワークが求められる場面は多い

HSPに対してクリエイティブ職をすすめる情報を見ていると

  • コミュニケーションが少なくて済む。
  • 煩わしい人間関係から開放され自分ひとりで仕事ができる。

というような、対人関係から逃避したがるような人に響く文言が目立つ。もちろん、自分ひとりで完結できる仕事はあるにはあるが、クリエイティブ職としてお小遣いレベルを超えて本格的に稼ぐ場合は、必然的に対人能力が求められる。

要するに、誰かと協力して大きな仕事をこなすのに必要なコミュニケーション能力やチームワークが求められるのだ。

繊細過ぎる人は対人折衝が大の苦手である。意見の衝突、折衷案を探る、作業の分配&指示出し、急なリテイク、急なスケジュールの調整、場合によっては形式的な謝罪をする…などの自分一人の力ではどうにもできない理不尽な状況に振り回されてストレスを抱える事は避けられない。

それに耐えうるだけのストレス耐性があるようには思えないからこそ、HSPの人にクリエイティブ職を勧める事に慎重になるのだ。

 

 

クリエイティブ職に十分なコンプラ意識や教育制度が存在していないケースが多い

また、業界や職場によっては

  • 技術がある人が絶対とみなされて、初心者の発言権は無いに等しい
  • ハラスメントの概念などなく、優しい態度で接してもらえる安心な環境があるとは限らない
  • 上司や同僚もまた繊細過ぎて癖の強い人で、扱いに困る場面が多い

などの問題が目立つことがある。

※なお、これはあくまでもクリエイティブ職以外で働いてきた経験のある私が感じる個人的な傾向の話である。もちろん、コンプラ意識や教育制度が整っているところもある…と、補足しておく。

 

こうなる理由は、クリエイティブ職の人には失礼を覚悟で言うが、そもそも高学歴な人やコミュ強者が好んでいくような職種ではないことが大きい…というが私の持論である。

むしろ、社会のレールに乗れなかった人、勉強や対人関係がうまくいかず好きなことぐらいしか仕事にできなかった人…など、人生の逃避先にあるような職種だからこそ、普通に働いて学ぶような常識であったり、人材教育のノウハウを持ってない人が多い。

結果、コンプラ意識や教育に対して疎い人がクリエイティブ職には多くなる。クリエイティブ職ではない人から見て「クリエイティブ職=変人が多い」という印象が定着したのだろうと見ている。

 

…少し話が脱線したが、この手の変人と関わり続けるだけの覚悟が、HSPを名乗る人にあるかについて、私は疑問を感じている。

ストレートに言えば、一般的な常識が通用しない変人に関わり続けるだけのストレス耐性があるようには思えないからこそ、クリエイティブ職をおすすめできないのだ。

 

 

フリーランスのクリエイティブ職も実質的に下請けであり立場は弱い

もちろん、面倒な人や環境を避けて、自分ひとりで受注&製作をしていくことも可能だ。

いわゆるフリーランスのクリエイターとして活躍していくことも、今の世の中珍しくない。しかし、フリーランスと言っても、多くの場合はただの一下請け業者に過ぎないこともある。(事実、私もそうである。)

立場が弱いからこそ、買い叩かれたり、急に契約を打ち切られたり、急なリテイクを無茶なスケジュールで依頼されたり、いきなり音信不通になる…など、繊細過ぎる人にはあまりにも大きすぎる不安と疲労を抱える自体になることも平気で起こりうる。

また、経歴が浅いということで、(無用なトラブルを起こさないという意味での)まともな客の仕事を獲得できないとか、割の良い仕事を獲得できないという問題も平気で起こる。

 

もちろん下請け以外で稼ぐ…たとえば、SNSやyoutubeを利用して自分の商品を売ったり、広告収入で稼ぐという方法もあるにはあるが、それも決して楽なものではない。

認知度が上がるまで商品がなかなか売れなかったり、「この人は宣伝の投稿がうざい」と言われて、ガラスのようなハートを打ち砕かれるという問題も起こる。

業界にもよるが、個人で行うクリエイティブな世界の中では、過剰な宣伝を嫌がるファンも多いので、客層の選定といったマーケティングスキルも求められる。

決して好きなことや、キラキラしたことばかりではないのがクリエイティブ職の現実である。(まぁ、これはクリエイティブ職に限った事ではないと思うが)

 

最後に

上で触れたような精神的負担や頭脳労働によるストレスを考慮すればこそ、繊細すぎる人は変にクリエイティブ職一本で食っていこうと夢を見ず、まずは他の仕事で生計を立てるのが無難且つ賢明だと思う。

そして、その無難な生活で収入基盤と貯金を充実させてから、副業としてクリエイティブ職に入ってみる…という順序でも全然問題は無い。現に私も副業が軌道に乗ってきたから独立したタイプである。

くれぐれも社会からの逃避先として、安易にクリエイティブ職を選ばないように…という、説教じみてて読む人を選ぶであろう結論で、この記事は終わりにする。

 

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