心理学では過度に繊細な気質であり共感力の高いの人のことを「HSP」と呼ぶらしく、最近このHSPを自称する人が増えているように感じる。
しかし、自称HSPの人を見ていると、どうも繊細とは程遠い。むしろ粗暴で他責思考が強く、およそ他人に共感できているとか、繊細という言葉からくる優しさとは無縁な人が目につく。
誤解を恐れずに言えば、自称HSPは自称メンヘラ同様に、一種の地雷ワードとみなされており、そっとミュート＆ブロックされる対象になっているように私は感じる。
今回は、そんな自称HSPに感じるモヤモヤを語ろうと思う。
(※ただし、HSPはそもそも概念として根拠が疑わしく、バーナム効果か新種の自己啓発上の概念じゃないかと私は考えている)
繊細なはずなのに、乱暴で荒っぽい言動が目立つ
自分で自分をHSP(＝繊細)と主張する人を見ていると、確かに自分に向けられる言葉や態度に対して繊細であるが、一方で自分が他人に向けている言葉や態度は極めて乱暴なものであったり、雑なことが目立つ。この時点で自称HSPの人の「繊細」について、かなり矛盾を感じる。
繊細であればこそ他人に対してあらぬ誤解や不快感を抱かせないためにも、言葉使いや態度に対して気を遣うものだとは思うが、そういう心配りや細やかさがまるで見られない。
乱暴で荒っぽい言動なのに「自分は繊細な人間なんですよね～」と言われても、見る方からすればモヤモヤしてしまうばかりだろう。
自称HSPの人に感じる「地雷感」
誤解を恐れずに言えば、自称HSPの人は
- 繊細で傷つきやすい自分に陶酔している。悲劇の主人公ぶっている。
- 繊細であることを鼻にかけて、鈍感な人、HSPではない人を見下す傲慢さがある。
- 共感力の高さからくる「優しいイメージ」に強くとらわれているように見える。
- 繊細で傷つきやすいからこそ「周囲の人は自分に気を使って欲しい、もっと自分を特別扱いして欲しい」という態度が目立つ
- 「繊細な自分の方が世の中を正しく知っているんだ」という思い上がりが見られる。
といった、人間関係をうまく構築できなさそうな類の言動が多くみられる。率直に言えば地雷臭がプンプンしてくるのだ。
繊細と主張しながらも他人を自分のわがままや甘えで振り回す。そのことを追求しても「繊細な自分になんてひどいことを！」と被害者ぶって、開き直ろうとする姿勢を貫くのであれば、めんどくさい人扱いはおろか、関係を切った方が身の為な人認定されるのも無理はないだろう。
「HSP＝繊細＝優しい、優秀、才能がある」と感じて増長している可能性
わたしは精神科医ではない。むしろただの一般人だが、自分を特別視する傾向や、ナルシストのように自分に陶酔する姿は、自己愛性パーソナリティ障害という精神医学上の概念に近いのではないかと思う。
繊細というイメージが持つ、秘めた才能、他の人にはみられない何者かであるかのような特別感が、自尊心の肥大化した人にとっては相性が良いのだろうと推察している。
とくに、現代ではSNSやyoutubeなどの個人で出来るネットメディアの発展により、今まであれば注目されなかった小さな才能を持った人にもスポットライトが当たりやすくなった。もっと言えば、今までなら埋もれていた秘めたる才能の持ち主であっても注目されやすくなり、その才能で生計を立てやすくなった時代である。
そんな時代の流れにあやかりたい、自分の(あるかもしれない)HSPが持つ繊細さからくる、優しさ、聡明さ、見る目の鋭さすや感性の素晴らしさを武器にして、ネット上で有名人になりたい！という欲望を持つ人が、自称HSPを武器にして名乗りあげようとしているのではないかと感じる。
「HSPな自分は他人の気持ちが手に取るようにわかります！」にツッコミを入れたい
HSPの特徴である共感力の高さ…つまり、「他人の気持ちが手に取るようにわかる」という特徴についてはモヤモヤしている。
まるで自分を、超能力者か読心術のマスターか何かと勘違いしていないだろうかという、冷静なツッコミを自称HSPの人に入れたくてならない。
自称HSPの人は、ただ自分の中で想像や憶測をすることが得意であり「相手は今こう思っているに違いない！」と、他人の感情や気持ちを決めつけているように感じてしまうことがある。
自分の中で自分の想像力にとって都合の良い相手のイメージを作り上げると同時に「あなた今こんな気分ですよね？ね？」と詰め寄る。
そんな具合に詰め寄られたことで、相手は「ええ、そうです…(なんかこの人、距離感近くてめんどくさそうだなぁ)」と言われた経験が原体験になり「自分は他人の気持ちが手に取るようにわかります！」と主張しているのではないかと思う。
自分の気持ちや憶測を相手に押し付けて、それで相手をわかった気になっているように感じることは、自称HSPの人に感じる違和感の一つである。
共感力は高そうだが、共感できない人を見下していそうなところにモヤモヤを感じる
自称HSPな人の言うところの「共感」とやらは、自分が共感出来る人に対してのみは強く共感し、そうでない人には凄まじく否定的・攻撃的な態度をとったり、マウントじみた態度を取る。随分と偏りのある共感だなぁ…と、つくづく思うし、どこか排他的で攻撃的な要素すら伺える。
そんな乱暴な共感のどこが「優しい」のだろうか、人の気持ちが手に取るようにわかる人の行動なのだろうか？非常にモヤモヤとした気持ちばかりが湧き出てならない。
いくらか自称HSPの人のSNSやyoutubuの動画を見たが、そこはかとなく繊細な自分を持ち上げ、鈍感な他人を下げるという話の展開を目にすることがあった。
これでは、ただ自分を持ち上げるために他人をディスっている嫌な人と思われるのも無理はない。ましてや、繊細や共感力の高さが特徴のHSPの人が、こんな態度を取るのは純粋に違和感が残るばかりだ。
