HSP系youtuberについて思うこと

HSP
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過度に繊細な人を指すHSPの概念が流行っているせいか、youtube上でもHSPを名乗る人がたくさん確認できる。

しかし、私はこの手のHSP系youtuberについて、色々疑問というか不可解なものを感じることが多い。

もとよりこのブログではHSPについては懐疑的な視点で記事を書いているが、今回はHSP系youtuberについて感じた個人的な意見や感想を述べていく。

 

HSP系youtuberに怪しい経歴の人が目立つ

主にHSPの人間関係や働き方指南を主とするyoutuber達のプロフィールを見ていくと、

  • 自称カウンセラー
  • 自称アドバイザー
  • 自称セラピスト
  • 「スピリチュアル」や「引き寄せ」を名乗る職業歴

など、わかる人ならわかるであろう胡散臭い人たちが名乗る肩書きを名乗っていたり、あまり聞きなれないし自称すれば簡単に名乗れる権威など合ってないような肩書きを名乗る人が非常に多い。

かつては、うつ病、発達障害、アダルトチルドレン(機能不全家族)などで生きづらさを抱えて心が弱っている人たちを狙った商売をしていると想像できる人たちが、次なるターゲットとしてHSPに狙いを定めているのだろうと個人的に推測している。

 

ちなみにだが、この手の肩書きを名乗る人が「私は○○という資格を持ってますよ」と主張しても、鵜呑みにするのは危険である。

ここで出てくる資格は、いわば金さえ払えば誰でも容易に取得できる民間の資格であることが大半だ。ものによっては、資格取得のためにペーパーテストや実技試験すら導入していないものもある。自動車免許よりも簡単に取得できてしまう程度の、権威など無いに等しい資格で語っていると言っていい。(なお、この詳細については「資格商法」で検索することをおすすめする。)

もちろん全員が全員このような手段を使っていると断定するわけではないが、妙に肩書きや権威をちらつかせている場合は、自分の頭でロクに考えられず、且つ権威に弱い人を重点的に狙っている可能性を視野に入れておくべきだろう。

 

HSP系youtuberの普段の職業が不明or怪しい

職業で人を判断するなと言われればその通りだが、胡散臭さを感じる人の場合はその限りではない…というのが私の持論である。

というのも、HSPに関する動画は日々の生活…とくに仕事や人間関係に関わるものが視聴回数を稼ぎやすい傾向がある。

そんな視聴者の実生活に強くに関わる情報を出している人の中には、現在ロクに働いてもいない人が、ネットで聞きかじった程度の知識で「○○な職業は繊細さんにおすすめですよ~」という無責任で根拠が限りなく弱い情報を発信している動画がいくつか見られた。

つまり、説得力のない人が適当に視聴者の人生を左右する情報を出していることに、強い違和感を覚えたのだ。視聴回数や収益のために適当な情報をもっともらっしく投稿するのは、仮に視聴者の満足度は高くとも、あまりにも無責任極まりない所業である。

ちなみに、この手の説得力のなさをカバーするために、上で触れたように怪しい資格や経歴を誇張する…というケースはyoutuberに限らず、ブロガーやツイッタラーのようなインフルエンサー業の人に多い手法だ。

 

 

意味もなく優しすぎるのに違和感がある

私がひねくれているだけかもしれないが、HSPを名乗るyoutuberは不気味なぐらいに優しい。

まるで、説得力のなさ補うために「優しさ」を利用している。視聴者に「優しいからこの人が言っていることは正しい」と錯覚させる効果を狙っているかのように優しい。

ほかにも自分の経歴の後ろめたさや胡散臭さを突かれないように「優しさ」で覆い隠そうとでもしているかのように見えた。

「優しい人に対して邪な目で見るのはよくない」とか「優しい人を疑うなんて自分はなんて心の汚い人間なんだろう」と視聴者の罪悪感を利用し、動画を盲目的に信じ込ませるための罠のように思える優しさが妙に印象的であった。まるで、誘拐犯がターゲットに優しくして不信感を持たせないようにする…というような優しさを感じた。

「優しくする→視聴者がリピーターになる→有名になりHSP界隈でも影響力が増す→オンラインサロンで稼ぐ」という目論見でもあるのだろうか。

 

これは私の仕事や学業での経験だが、実力がなかったり経歴が微妙な人ほど優しさを武器にして他人に取り入られようとする傾向がある。

勉強するなり、仕事をきっちりこなして自分の評価を上げることが重要なはずだが、この手の人は地道な努力への苦手意識が強く、優しさに訴えて自分の評価をあげようとする小賢しさが特徴的である。

もちろん、HSP系youtuberの全員がこのように、優しさを武器にする腹黒さがあるというつもりはない。

 

 

なんでもかんでもHSPに関係するという表現を臆面もなく使う怖さ

最後に、日常生活で起きる様々な状況や心の動きを、なんでもかんでもHSPに関係するものとして扱っていることに、強い違和感というか恐怖心すら覚えた。

まるで、「(一応でも心理学の概念たる)HSPがなんたるかは自分が決めるんだ!」と言わんばかりに、HSPに関する動画を投稿する様は、かつて健康系キュレーションメディアのウェルク(WELQ)がデマの情報を投稿していた姿を想起させる。

 

とはいえ、そもそもHSPは学問の体裁こそあるが非常に危うい概念という声もあるので、誤情報や極端な情報がネット上にあっても「その程度の信ぴょう性なんでしょ」と片付けられればいいのだが、中には鵜呑みにしてしまう人もいると思う。

まぁ、本当に自分がHSPだという自覚がある人なら、持ち前の洞察力と慎重さを駆使して情報を取捨選択すればいいのだが、現在自称HSPが少しずつ問題になっている状況を見ると、それはあまり期待できなさそうである。

 

…確かな知識、教養、経験、そして自分自身と自分が支持している相手を疑うだけの冷静さがなければ、洞察力も慎重さも宝の持ち腐れになるということなのだろうか。

 

参考:「炎上」が暴いたDeNA劣悪メディアの仕掛け なぜニセ情報が大量の読者を獲得したのか