主に自己啓発や心理学、仕事に役立ちそうな情報をエンタメチックに話すyoutuber…つまり、ビジネス系youtuberは、活きのいい意識高い系大学生のように、どことなく鼻につく何かを感じる人が多いと思う。
端的に言えば、ビジネス系youtuberに対して「(理由はよくわからないけど)うざい」と感じている人は多いだろう。
今回は、そんなビジネス系youtuberがなぜうざい話し方をしているのかについて、主にyoutuberとして成り上がるための視点も交えて、個人的な見解を述べていこうと思う。
ビジネス系youtuberを見る層について
まずはじめに、ビジネス系youtuberのウザさに触れる前に、彼らがどういった人たちを意識して動画を作っているのか…つまり、ビジネス系youtuberのメインの客層について知っておくことが、あのウザい話し方の理由を知るのには欠かせない。
ビジネス系youtuberの主な客層は、私の持論では以下のとおりである。
- お金を稼ぎたい、副収入を得たいという願望を持つ人(=金銭面での悩みがある人)
- スキルアップしたい、仕事で役立つ知識を求めている人(=仕事での悩みがある人)
- 人間関係に役立つ知識、テクニックを求めている人(=人間関係の悩みがある人)
- 自信・自己肯定感をつけたい。メンタル面を強くしたいと感じている人(=メンタル面の悩みがある人)
など、何かしらの不安、悩み、生きづらさや生活の中での問題を持った人に向けられて作られている動画が多い。言い方を悪くすれば低学歴の人や、経済的・社会的な貧困層や健康問題を抱えている層がメインターゲットになる。
そして、この手の悩みを持っている人を助けたり、励ましたり、問題解決に向けたヒントを提示する…という目的でビジネス系youtuberは活動し、支持を集めているのだ。
逆に、最初から大した悩みがない人や現状に満足している人、経済的・精神的に自助自立している人は、こういったビジネス系youtuberの動画の想定視聴者にはなりにくい。
うざい話し方をすれば「この人は正しいことを言っている」と思い込ませる効果が期待できる
さて、何かしらの悩みを抱えている人が想定視聴者だと上で説明したが、この場合ビジネス系youtuberは悩みを抱えている人に「この人のアドバイスはなんだか役に立たないなぁ…」と思われるようなことは避けなければいけない。
何かしらの悩みを抱えている人に対して意味もなく軟弱な姿勢を見せようものなら、たとえ正論であったとしても「自信なさそうに話すこのビジネス系youtuberのアドバイスは信用できない」と捉えられてしまう。つまり、登録者数&再生数増加には繋がらない。(もちろん例外もあるが、ここでは割愛する)
そのため、ビジネス系youtuberは
- 意味もなく断言口調で強く主張する。
- 畳み掛けるように話す。
- 見る人の感情を煽るように感情的な振る舞いも交えて話す。
- 虚勢を張っているかのように自信満々に喋る
- 自分の話していることが世界の真理であり本質であるかのように堂々と話す。
…というように、大げさな話し方をする。
そして、この大げさな話し方こそ、普段から悩みを抱えて心身ともに弱っている人に響きやすいのだ。
弱っている人は、堂々と話している姿だけをみて
- 「この人は正しいことを言っている」
- 「この人の言うとおりにすれば不安や悩みが解消される」
- 「この人を応援し認められれば、自分は変われる気がする」
という気持ちの変化が起こりやすい。つまり、熱心な信者ファンになってチャンネルを盛り上げてくれるようになるのだ。
なお、このような話し方は、人によっては「胡散臭い」「オーバーリアクション」と捉えられるかもしれない。しかし、オーバーだと捉える人は想定視聴者ではなく利益に繋がらないので、ビジネス系youtuberの眼中にはない。
見る層が抱く淡い期待や幻想を強く代弁するのがビジネス系youtuberとして成功するための鍵
ビジネス系youtuberを商売として見た場合、彼らは想定視聴者がなんとなく思っていることや淡い期待、幻想を強い姿勢で代弁することが、成功のためには重要になる。
例えば、人間関係で悩んでいる人に対しては「嫌な人間関係から逃げるのは全然OK!むしろ嫌な人間関係に縛られて消耗している人は時代遅れだ!」という具合に強く主張すれば、濃いファンを獲得しやすくなる。
悩んでいる人はビジネス系youtuberという他人に背中を押してもらいたい願望が強い。加えて、もし背中を押してもらえるのなら、その人の言うことをなんでも信じてしまうぐらいに依存心も強い傾向がある。
そうした自分の人生に対する当事者意識が希薄で、強い主張をする他人にのめり込む傾向を持つを人相手にした商売は、軌道に乗れば手堅い商売になる。
手堅い商売になってしまえば、話し方がうざいだとかいう外野の声にもビクともしなくなる。むしろ外野の声を燃料にして、自分のファンに「文句ばかり言っている凡人と違って、私のファンは皆素晴らしい」と選民思想と帰属意識を煽り、ますます自分の利益を増やすという売り方につなげられるのだ。
自己啓発セミナーがビジネス系youtuberに変わったという可能性
ちなみに、こうした人生に悩みを抱えている人を相手にしたビジネスとして代表なのが、自己啓発セミナーである。
しかし、最近では自己啓発セミナーに対して悪い印象を持つ人も少なくないし、そもそもセミナーに行くこと自体億劫だと感じる人も多い。更には自粛生活が避けられなくなったことで、会場を借りてセミナーをすること自体難しいと言わざるをえない。
そうした時代の変化も影響して、youtubeをはじめとして「ビジネス系youtuber」と名乗り、実質的に自己啓発セミナーと同じことをして集客、収益化を目論む人が増えているのではないかと私は見ている。
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