私はなかやまきんに君をはじめとした筋トレ系のyoutubeを見ることが多い。そのためか動画の広告で
- フリー画像を適当に並べた感じのダイエット用サプリのCM
- とりあえずvtuverに喋らせている脂肪燃焼効果があると主張しているCM
- 漫画形式の動画で、ニキビの改善、ムダ毛の処理、大幅減量達成などを説明している広告動画。
など…一言で言えば胡散臭い、「こんなのを買う人は寝ぼけているのかな?」と思うような、動画を目にしてはスキップすることが多い。
しかし、興味本位で動画を見てみると、胡散臭いけど広告としての体裁は一応整っている。普段の仕事でデザイン・広告に関わることが多いためか、私はそう感じた。(ただし、断じて胡散臭い広告や宣伝されている商品。サービスや広告の手法を肯定するものではない)
今回は、youtubeに蔓延る胡散臭い広告について、私の仕事経験をもとに感じたことを語っていこう。
いかにも胡散臭テイストで作られている理由
胡散臭いテイストになっているのは
- この胡散臭さを感じ取れないor「胡散臭いけど実は本当に効果があるのでは?」と思った人に、訴えかけるため。
- あまりある胡散臭さを感じ取れる人に広告をスキップさせるため。
であると考えられる。
「見た人の99%の人が胡散臭いと思う広告でも、たった1%(あるいはそれ以下)の潜在顧客に響けばそれでいい」という目論見があるからこそ、あえてその1%以下に絞ったいかにもアレな広告にしているのである。
今やインターネットが当たり前の状況になり、老若男女問わずあらゆる人がスマホを片手にする時代。
そのことは言い方を変えれば、私たちの実生活の中でまず出会わないであろうほどに、物事の判断力が著しく乏しい人もスマホを持つようになっている。そういう人たちが、何らかのきっかけで胡散臭い広告を目にして、商品・サービスを買うようになっているのだ。
胡散臭さを見抜けない人をターゲット層にしている理由
胡散臭さを見抜けない人、あるいは胡散臭いと感じつつも一縷の望みを託して商品・サービス購入を決めてしまう人にターゲットを絞っている理由は以下のものが考えられる。
- 胡散臭いことが見抜けないぐらいの頭脳の持ち主なので、契約や返品に関する細かい説明を読解する能力が低いと想定できる。(≒想像を絶するほどに頭が悪い、頭が弱い)
- そもそも返品・返金手続きをするという考えすら至らないほどの頭の持ち主であると想定できる。(要するに、騙されやすい頭をしている)
- 胡散臭いものであればあるほど、周囲に対して「胡散臭いものを買ってしまった」と相談することに恥ずかしさを感じるようになってしまう。買ったもので問題が生じたとしても、恥ずかしさから周囲に相談しづらい。つまり、販売者にとって都合の悪い商品を売りつけやすい相手である。
- すでに余所の業者などで胡散臭い商品を買ってしまう癖がついている。つまり、効果が疑わしい商品に対する抵抗が薄く、よく考えずに誇大広告や誇張表現にホイホイついて行く人に絞っている。露骨な表現に流されやすいので、仮に話し合いになっても販売者の話のペースに流しやすく、丸め込みやすい。
一応どの理由も私の憶測ではあるが、どの理由も共通しているのは騙されやすく、被害を訴えづらいことが伺える人、被害を訴えてもうまく泣き寝入りさせられそうな人を狙って、あえて胡散臭くしている点である。
また、美容・ダイエット系の広告は他人には相談しづらいデリケートな悩み、コンプレックスを赤っているため、周囲への相談のしづらさも強くなる。
加えて、「コンプレックス改善のためなら…」という理由で、商品価格を高額にしても成約しやすい。つまり、ぼったくりをしやすいのだ
ストーリーを用いやすく、文字サイトと違い最後まで見てもらいやすい
動画の場合だと、文字だけの広告と違いストーリーを挟み込みやすく、最後まで広告が見てもらいやすくなる。
とくに、漫画形式の動画では「体型や見た目にコンプレックスを覚えている人が、ある商品を購入してそのコンプレックスを克服。モテモテになる、仕事もうまくいって人生大逆転」という、よくあるサクセスストーリーをフィクション上の人物を使って説明できてしまう。
つまり、実在の人物の存在や情報の裏取りをしなくても簡単に広告が作れてしまう。もちろん、これは(ただでさえ信ぴょう性が乏しい)広告の信ぴょう性の乏しさを失わせて胡散臭さを増してしまう。しかし、胡散臭さが増せば増すほどその胡散臭さを見抜ける人はスキップし、見抜けない人が見るようになる。
ローコストでターゲットに訴えかける広告が作れるので、ある意味では製作のコスパはいい広告なのだ。
youtubeの胡散臭い広告は、深夜のTVショッピングの下位互換
最後に持論だが、youtubeの胡散臭い広告は、いかにも胡散臭い深夜のTVショピングの下位互換だと思う。むしろ、youtubeの胡散臭い広告を見ていると、深夜のTVショピングですらマシに見えてくる、ちょっと買いたい気持になってしまうかのような出来だと錯覚してしまう。
どちらも過剰なリアクション、商品効果の過度な強調など、胡散臭さを匂わす部分はある。ただし、広告を出すための審査の方は私が見ている限りではネットの方が緩く、およそテレビでは出せないような胡散臭い広告がネット上ではよく見かける。
今後もこうした胡散臭い広告は手を変え、品を変え、そして芸を変えて登場してくるだろう。この胡散臭さをしっかり見抜けるための目と嗅覚を持つことが、変なものを買ってしまい後悔しないためには重要だと思う。