仕事で正直すぎる人を雇うと損をする理由を語る

仕事・ビジネス
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「正直者は仕事で損をする」という類の話であったり失敗談などは、実際に見聞きした人が多いことだろう。

一般的に良いとされている正直な性格が災いして、損な役回りを押し付けられる。待遇に到底見合わない働き方をしてしまい、正直ではない適当な人と比べると、どうも自分が損をしているようなきがしてならない感覚に襲われる。これこそが「正直者は仕事で損をする」と言う類の話のよくある例だろう。

しかし、少々ひねくれた意見になるが、正直者は実は損をしている人であると同時に、周囲に損害を与えているor与えかねない存在になっていることもある。

ストレートに言えば、正直者は組織側や経営者側から見て、足を引っ張るお荷物的な存在になってしまっている…ということが、自分で仕事を誰かに依頼する立場を経験して、ひしひしと実感することがあった。

今回は、損な…ではなく、そんな正直すぎる人を雇うと損をする理由について個人的な見解を述べる。

(なおこの記事の趣旨の性質上、正直者だと自覚している人の心にたいへん優しくない記事である。そのことをご理解してただいた上で、読む・読まないを決めていただければ幸いである。)

 

「正直=本音を言ってしまいかねない」からこそ、雇いづらい側面がある

正直に申し上げると、正直であることの弱点は「正直=言わなくてもいい本音を言ってしまいかねない」である。つまり、仕事における本音と建前を使い分けることが難しいとお思われがちな側面があるのだ。

会社などの組織の一員として働く以上は、自分の正直さを頑なに貫くことよりも、場合によっては建前を使ったり、言わなくてもいい本音を言わないよう振舞うことで、仕事を円滑に進めていくことは重要だ。

ましてや、営業職のように売上を出すことを求められている立場だと、例えば本当は競合他社さんの方が自社より良くて安い商品を販売しているからといって「うちではなく、他社さんの方がお得ですよ」みたいな正直すぎることをぶっちゃけるような人は、顧客には喜ばれるかもしれないが、雇う側からすれば非常に困った存在であろう。

…まぁ、この例は少々大げさかもしれないが、働く以上は「言わなくてもいい本音を敢えて口にしない」というスキルは、正直を信条としてきた人には受け入れがたいかもしれないが、結構重要なスキルである。

 

良心や道徳心に正直すぎて、自分の利益を減らしてでも他人の利益を増やす行動に出かねない

もちろん、自分に正直な自分を貫き目の前の面倒事から逃避し好きなことだけで生計を立てていける能力があれば話は別だ。しかし、たいていの人は自分一人で完結する仕事で稼ぐ能力がないからこそ、組織の一員として働くものである。

そうである以上は、組織からみて一緒に働いても安心できる人、変なことをしでかさない至ってまともな人だと思われこと。組織内(そして組織外)から好かれるためにも、下手に正直すぎないことが望しいのだ。

正直すぎる人は、どうも会社のように営利活動を主とした組織に所属して働くことを、何か良心や道徳心に背くような行為であると捉えているフシが見られる。

しかし、その道徳心とやらにこだわり続けて働くことは、上でも触れたように顧客には喜ばれるかもしれないが、組織の利益を減らしてしまうことになりかねない。

道徳心にこだわるのは結構だが、その道徳心のせいで実は他人に迷惑をかけている、一緒にいる人達を困らせている…という可能性について考えることができれば、より柔軟な道徳心が育つのではないかと私は考えている。

 

正直は良い事だと強く思っている人の内面を変えるのは非常に困難である、扱いづらい部下になる

一般的にみて、正直であることは良いとされている。とくに働く前の学校・家庭教育では「嘘をつかずに正直でいること」を強く教え込まれることは珍しくない。

もちろん、正直なのは良いことだ。しかし、良いと感じてしまうからこそ、他人から「正直過ぎるののは困りものだ」という類の指摘をされても、素直に受け入れるのが難しいという問題もある。

うまく説明しにくいが

  • 「良い事なのに指摘されるのってどういうこと?」
  • 「なんで正直なのに指摘されなきゃいけないの?」
  • 「正直者を馬鹿にするような心の汚れた人だな!」

というような、混乱や反発が起こりやすく、指摘を受けた人が正直もまた完璧ではないと理解するのはどうしても難しい。

結果、指摘が響かないどころか、逆に正直であることに強くこだわり、ただ頭が固い頑固者になってしまいやすい。

 

最後に「正直は良い事は正論」だが、その正論がどんな状況でも通用するわけではない。

多くの会社が営利企業である以上、正直を貫き通した結果、自分たちの利益が減るような人材を雇うような真似はしないものである。

そういう会社の事情を知っておくことが、自分で自分を真面目な正直者であると感じている人には、(最初は自分を否定するような感覚に襲われるかもしれないが)重要だと感じる。