気持ち悪い美容広告をなぜ出すのかについての考察・分析

仕事・ビジネス
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この記事は「youtubeに不快な広告が増加している理由をもと広告業務経験者が語る」の続編である。

私がかつて前職で広告・マーケティング業務をしていた経験を元に、美容広告がなぜ気持ち悪いのかについての考察・分析を語ろうと思う。

 

明らかに気持ち悪いものになぜか引っかかってしまうような精神状態の客がメインターゲット

おもにネット上で悪い意味で評判になる美容関連の広告(例:歯に関するもの、肌トラブル、臭いトラブルなど)は、どれも目に強く訴えかけてくるような不快さと誇大広告と思わせるようなデザインが特徴的である。ストレートに言えば、第一印象で「気持ち悪い」「怪しい」と多くの人が感じるような写真を堂々と利用している。

冷静に考えれば「こんな気持ち悪い写真を使う商品・サービスなんて買うもんか」と思う人がほとんどだろう。

当然のことだが冷静な判断ができる人は、そもそも気持ち悪い広告写真を使う商品の想定顧客ではない。

狙っているのは、こんな気持ち悪い写真を気持ち悪いとすら思わないような精神状態の人。つまり、自分のコンプレックスに囚われすぎて精神的なバランス感覚を(一時的にでもいいので)欠いている人になるのだ。

もちろん、これ以外にも

  • インターネットに疎い人。
  • 怖いもの満たさで買ってみようという気持ちになっている人。

という人も想定顧客に含まれる。

 

余談だが、冷静な判断力がある人はまず間違いなく気持ち悪い広告をクリックしようとしないし、そのことを話題にすることもない。

広告費をかける以上、狙っている客に着実に届けると同時に、狙っていない客には可能な限りクリックさせないような工夫が重要である。

その工夫こそが、どこからどう見て怪しくて、胡散臭くて、気持ち悪い写真をあえて堂々と使うことなのだ。

 

「どう見ても怪しい広告に騙されました」と相談したくてもできない心理を利用する

どう見ても怪しいと思える広告は、どう見ても怪しいからこそ騙された人にとって「私はどう見ても怪しい広告に騙されました」と被害を主張することに心理的な抵抗を感じやすい。

もちろん、然るべき公的機関(消費生活センターなど)に主張する場合は話は別だが、もし仮に友達や家族のような身近な人に相談するとした場合「あなたはそんなどこからどう見ても怪しい広告に騙されたのか…(呆れ)」というような反応が来るのが高確率で予想できる。

また、被害の相談は同時に美容に関するコンプレックスを持っていることを身近な人に打ち明けることにもなる。自分がコンプレックスを抱えていることを隠しておきたい人からすれば、ますます相談することの心理的な負担は大きくなる。

結果「これは勉強代として今後の人生に活かそう」と考えることで騙されたことをうやむやにし、事実上の泣き寝入り状態になる。

こうなれば、胡散臭い商売をしている側は被害の声がなかなか上がりにくいという良い状態の中で思う存分活動できるのだ。

(※なお、美容関連の商品はそもそもがそこまで高額ではないために、法的手段に出るにしても弁護士費用等で赤字になる可能性も高い。これもまた泣き寝入り状態になる原因の一つである。)

 

一見さんのみを狙う胡散臭い商売のやり方について

最後に悪徳商法でよくある、初めて買う客(=一見さん)のみを相手にする商売について触れておこう。

この商売の性質上リピーターを獲得する気はない。もっと言えば、商品の質的にリピーターは見込めない程度の質しかない。

下手に質を磨くぐらいなら、集客に磨きをかければいい…というやり方でとにかく売り抜けることに注力するのが大きな特徴なのだ。

そしてこの集客の部分で出てくるのが、この記事でも触れている誇大広告や不快感を与える広告なのだ、

 

この商売ではどう考えても品質や値段に疑問点が多く胡散臭い商品を、まともな精神状況で無い人に売り付ける。ある程度一見さんを刈り取ったらまた別の胡散臭い商品・サービスを発表する。

この時に役立つのが、以前の商品を購入した顧客の情報(メールアドレス等)である。一から新規顧客開拓するコストがカットできるだけでなく、ある程度顧客の精神状況を把握している…つまり、胡散臭いものでも平気で買ってしまうような客であることがわかっているので、その分売上の見込みが立てやすくなるのだ。

 

胡散臭い商売に巻き込まれたことがある人やそういう話に興味がある人なら見聞きしことがあると思うが、変なメルマガを購読したらその登録したメールアドレス宛に見慣れない勧誘メール、DMが大量に来ていた…という話のカラクリが、まさにこれなのである。