転職や独立で退路を断つ方法がおすすめできない理由を語る

仕事・ビジネス
この記事は約5分で読めます。

ベンチャーで働き、副業もしつつ、そして現在は副業の方が軌道に乗って在宅業のフリーランスで生計を立てている身としては、背水の陣を敷いて転職や独立をすることについては、正直おすすめできないと強く思う。

今の生活や待遇に満足できておらず、かと言って転職や独立をしても甘えが出てきそうで中途半端になってしまう。だから、人間関係もバッサリ切り、親や恋人の援助にも頼らず少ない貯金でも我慢するという、退路を断つ覚悟で仕事を変えてうまくいけば、それこそ人生どん底からの大逆転劇になるだろう。しかし、世の中そううまくいかないのが大半である。

自分を例に出すのは気が引けるが、転職や独立など大きく生活環境を変えるときは、いちかばちかのギャンブルであってはならない。確実に保険をかけた上で、減らせるリスクは減らした上で、環境を変えることこそが生き延びるためには大事である。

今回は、そんな退路を経って転職や独立をすることについて、個人的な見解を述べさせていただく。

 

転職・独立時に独立で退路を断つ方法がおすすめできない理由

退路を断つことにより、「何かあったら元の職場に戻ればいい」「親のすねをかじって生きていけばいい」という甘えをなくせる。そうすれば、自分が思い描いていた充実した生活が得られるという希望があるのだろう。

しかし、もう後がないという状態で環境を大きく変えることは、想像以上に強いストレスを伴うものであり、半年とか数年単位で長く続けられるものではない。

ストレスが強すぎるあまりに、

  • 夜になっても寝れない。寝不足になって仕事のパフォーマンスに支障がでる。
  • 冷静さを欠いて、条件の悪い仕事を受けてしまいジリ貧になる。
  • ケアレスミスが増えて取引先に迷惑がかかる&自分の信用の失墜。
  • 後がないからこそ「一気に大儲けしてやろう」という欲が出てしまい、怪しい儲け話・投資話に惑わされる。

といった、精神状態の不安定さからくる自滅を招く恐れがある。

また、何か焦っている姿勢というのは、仕事を依頼する側からしても困りものである。仕事をしたいという意気込みこそあるものの、どこか浮き足立っている雰囲気を感じてしまい、安心して仕事を頼むのを躊躇してしまう。「なんとなくこの人には仕事を任せられない」と思われても仕方がない。

とくに転職or独立したてで、なんの後ろ盾や実績もないド新人ともなれば、ますます安心して仕事を任せようという気にはなりにくい。

もちろん、環境が変わったても平常心を保てる人の方が珍しいとは思うが、それでも「もう後がない…わけではない」という多少は冷静でいられる状況で仕事と相手と接することは、相手から信用されるためには欠かせない姿勢であると私は考えている。

 

ある程度の貯金と仕事のアテを残して転職・独立するのが賢い

退路を断って環境を変えたい人に言いたいのが「メンタル面の安定度合いは貯金額に比例する」ということだ。

私自身、在宅のフリーランス一本で生活していくことを決めたときに、2年間無収入でも全然問題無いほどの貯金額があったので「まぁ仕事がゼロになっても、のんびり行きましょうや」という、精神的なゆとりを持つことができた。

また、退職後も前職とはある程度の仕事をしていくという取り決め…つまり、業務委託契約として働くように話を進めていたので、いきなり仕事がゼロの状態で独立するという状況も避けられた。

転職の場合も同じであろう。もし、「転職してもダメだったし、辞めたい」となったときに、無収入でもある程度生活出来るだけの蓄えがあるのと無いのとでは精神面の安定度合いが異なる。最悪お金がなくて飢えて死ぬ、わけではないという安心感もあるので、多少慣れない環境でもストレスを抑えた生活も送れる。

ある程度貯金があれば「まぁ、もうちょっと様子を見て、それで無理ならまた転職なり副業をすればいいや」と余裕をもてるが、貯金が少ないと「転職の費用やブランクのある期間をどうやって過ごせばいいのか」という悩みが付きまとうことになる。

重ねて言うが、貯金額の多さはメンタルの強さである。仕事を変えるときに堂々としていられるメンタルが欲しいのであれば、まずはある程度貯金するよう心がけるべきだ。

 

退路を断って成功した系エピソードに憧れてはいけない

とは言っても、ネットやテレビでは、退路を断ち働き方を大きく変えたことで見事に大逆転。大金持ちになったり、自由でストレスフリ-な生活を手にした人たちの姿を見かけることだろう。

しかし、こうした成功談は、あくまでも成功したからこそ多くの人から注目を浴びるものであり、その裏では、退路を断ってもなお失敗してしまった人もいる。そういう人の話は、そもそも表に出てくることはない。

しくじり先生的な番組でも、結局はしくじったけど今はなんとか成功しているからこそ話題になるが、本当にしくじり続けてどん底のさらにどん底にまで落ちてしまった人は、自らその経験談を語るような真似はしないものだ。

大見得を切って環境を変えたのに、結果は惨敗。そんな惨めな自分を周囲の人に見せることができないプライドの持ち主だからこそ、本当に失敗してしまった人の話は、まず表には出てこないものだ。

退路を断って成功した人の意見には偏り(生存バイアス)やポジショントークが入っているので、一見するとドラマチックで魅力的に見えるかもしれない。しかし、彼らの言う成功は別に退路を断たなくてもできるという考えを持ち合わせた上で、環境を変えるのが重要である。

…と、いうことを述べて、ここでお開きにさせて頂く。