最近良くも悪くも流行っている「HSP(繊細さん)」を見ていて思うのが、自ら進んで少数派(マイノリティ)になろうとしている人が、思いのほか多いということだ。
なお、この場合の少数派は、LGBTなどの性的マイノリティや発達障害、うつ病などのメンタルヘルスに関わるものなど、どちらかといえば社会の中で生きづらさを覚えている人たちが名乗る肩書き(という表現には語弊があると思うが)と思っていただけると幸いである。
今回は、この手の少数派になりたがる人の心理について、個人的な見解と考察を述べていく。
自己アピール、セルフブランディングとして少数派をカミングアウトしているという可能性
何かと社会における少数派であるとアピールする人、あるいは少数派になろうとする人は、一種の自己アピールとして少数派の肩書きを名乗っているのではないかという疑念がある。
言い方を悪くすれば、個人的な承認欲求を満たす目的や、社会に対する影響力を持ちたい、あわよくば少数派であることを利用してインフルエンサーにという気持ちがある。そうした願望が、少数派を名乗る行為のエネルギーの源になっているのだ。
とくにネット上ではHSPを名乗るyoutuberや、発達障害を名乗るtwitterユーザーが多くの注目を集めている事例派たくさんある。youtubeで検索すれば、HSPに関する動画がどれだけ再生回数を稼げているかは、簡単に確認できてしまう。SNSも同じく、いいねやリツイートの回数でどれだけ数を稼げているかは明白である。
もちろん、ネット以外でも書籍出版やイベント登壇などリアルの生活での活躍により、安定的に稼いでいる人も出てきているケースも、検索して調べればたくさん見かけるものだ。(まぁ、今後も安定して稼げるかは疑問だけど)
こういった成功事例を見て「自分を少数派であることをカミングアウトすれば、あの成功している少数派の人たちみたいな存在になれるかもしれない!」という気持ちになるのも無理はないし、一念発起してSNSやyoutubeなどで自分が少数派であることを公表するのも理解はできる。
もちろん、生きづらさを感じている気持ちを否定するものではない。しかし、こうした行為は意地悪な見方になるが、少数派であることを踏み台にして、成り上がろうとする魂胆があるように思えてならないのだ。
こうした行為は、人によってはあまり好ましく思われないだろう。まるで「自分が(とある少数派の)代表的な存在です」と主張して、とある少数派のイメージを大きく固定化させてしまう恐れがある。つまり、誤解や偏見の助長に繋がる恐れがあるからこそ、好ましく思わない人達が出てきてしまうのだ。
少数であることそのものが価値あるものだという考えにとらわれている可能性
また、ここまで複雑ではなくとも、ただ純粋に「少数派=数が少ないので貴重、多数派=ありふれているので無価値」というざっくりとした考え方をしているために、自分が貴重で価値ある存在になるために少数派になろうとしているケースがあるように感じる。
絶滅危惧種の動物が貴重な動物として手厚く保護されているのと同じように、少数派であることそのものに価値があると考えてしまうのは、まぁわからなくはない考えだと思う。
とくにネット上ではありふれた意見よりも、少数派の肩書きを持っている人の意見の方が注目を集めやすい。いわば、少数派であることそのものが、ネット上では価値があるといえる。
それを知っているのか知らないのかは定かではないが、自分の発言に影響力や説得力を持たせるための一要素として、少数派であることを殊更強調していると思われるケースが、ネット上では目立つ。
ただし、こうした行為もまた、自分の個人的な承認欲求をはじめとした願望や要求を満たすために、少数派であることを利用しているとして批判的な意見が出やすいものである。
他者から一方的に理解や共感をされたいから、少数派を名乗っている可能性
これは私の憶測を含んだ意見だが、少数派を名乗る人が過剰な承認欲求を持っているのは、それだけ普段から人に受け入れられる経験が少ないことが影響していると見ている。つまり、交友関係が乏しかったとか、愛情を十分に受けてこないまま成長してきたことが影響していると見ているのだ。
しかし、一方では人と関わる上でどうも自分から他人に近づこうとか、他人を愛しようという気持ちがあるとは言えない。どちらかといえば一方的に自分が認められ、受け入れられ、愛される…のように、一方的に与えられてばかりの関係を望んでいるようにも見える。
そんな自分ばかりが満たされる都合のいい関係を手にするために、あらゆる少数派をネットで調べて「自分はこれだ!」と思うものを探しては、自己診断して名乗っている…のではないかと、私は考えている。
いわゆる自称HSPが煙たがられるのも、こうした「いつでも自分が配慮されて受け入れられるべき」という、他人に対して歩み寄ろうとしない姿勢を醸し出していることが影響しているのだろう…と推察している。
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