HSP(繊細さん)ブームと真面目系クズに関する考察

HSP
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この記事は「HSP(繊細さん)がブームになった原因・理由の考察」の続編である。

昨今(かなり危うく胡散臭い概念である)HSPを名乗る人が増えるブームの一因として、真面目っぽく見えて実はクズな思考の持ち主である人の存在が影響している私は考えている。今回はその理由について、個人的な見解を述べていこうと思う。

ただし、記事の内容は非常に心に優しくないものであり繊細な心の持ち主の方には厳しいものである。それを理解できた方のみノークレームで読んでいただければ幸いである。

 

真面目なのに報われない人にとってHSPは非常に好都合な概念

真面目系クズは、その性質上、学業、人間関係、仕事などあらゆる場面でうだつの上がらない存在になりがちである。

場合によっては、社会参加すらできず引きこもってしまったり、精神を病んで長期の療養が必要になってしまい、ますます社会復帰が難しくなるという状況になることも珍しくない。

しかし、そんな状態であっても一応でも「真面目」という自己認識を持っているためか、同じく「真面目」な人が多いとされている「HSP(繊細さん)」という概念に対して、親しみを覚えやすい。

加えて、HSPについてネットで調べれば

  • 感受性が豊かである
  • 優しくて共感力が強い
  • 普通の人(非HSP)には見られない創造性、才能がある

…というような、まるで聖人or人格者であるかのような説明文を多く目にすることだろう。

しかし、このことが後述するように、なんとなく地雷臭のするHSPを名乗る人を増やし、HSPそのものに対して懐疑的な印象を強めてしまっている原因なのではないかと推察している。

 

 

社会的に成功している人を蔑む側面も持つHSP

(一応)真面目であるのに報われない…そんな鬱屈とした気持ちを抱えている人にとって、HSPの概念は自分を肯定すると同時に、今まで自分を否定してきた存在や羨ましく思ってきている存在を貶してくれるもののように感じているのではないかと思う。

例を上げるとすれば社会的に成功している人は、実は鈍感で、あらゆる欲にまみれていて、競争のためなら他人を踏みつけることを厭わないし、そもそも他人に共感することもしないし、生粋のサイコパスみたいなどうしようもないクズである。

しかし、真面目だが社会的に成功していないHSPな自分は、実はとても繊細で感受性が強く、欲望とは無縁の存在で、自分が不利益を被るのをわかってても他人に譲歩してしまうどころか、その他人に共感を寄せて心を痛めてしまう。そんな、素晴らしき人格者だと錯覚してしまう概念…それこそが、HSPなのである。

実に嫌な言い方になるが、生きづらさを感じている人にとって「『社会的成功者はクズで自分たちは聖人』という、わかりやすい悪と正義の存在が、HSPの概念にはあるではないか?」と感じることが、興味本位でHSPに関して調べていた時に多々あった。

 

経済、文化、交友関係など、社会における資本となりうるあらゆる格差が広まるどころか、むしろ固定化している現代は「金持ちはクズ、貧乏人は清く正しく美しい存在」というような、わかりやすい…というよりは単純な言説が支持されるのも、ある意味もっともな時代であると思う。

しかし、この手の言説は過度な誇張や世を恨む人の被害妄想がふんだんに織り込まれているので、鵜呑みにしてよいものではないと感じる。

 

 

HSPブームとすっぱいぶどう

最後にHSPブームには、心理学でよく見聞きするであろうイソップ寓話の「すっぱいぶどう」の話が強く影響していると思う。

すっぱいぶどうは、自分が手にすることができなかったものを「無価値だ」と感じてしまう人間の心理を表した物語である。堅苦しく言えば防衛機制の合理化を表しているストーリーだが、意地悪な言い方だと負け惜しみや自己正当化する人の心理をよく合わらしている、かなりヘビー且つブラックなストーリーと言えよう。

このすっぱいぶどうを元に考えると、真面目に生きてきたが人生が上手くいっていない。内心は社会的に成功している人を羨み嫉妬しているが、そうした自分の僻み根性と向き合うのは精神的苦痛を伴うために、別の方法で解消したい。

…そんな、一応真面目だが生きづらさを感じている人のニーズに沿っているのが、HSPの概念である。

 

HSPを信じれば「金持ちはクズ。貧乏人は清く正しく美しい存在」というような、社会的に成功している人を羨む惨めでかわいそうな自分を慰めてくれるだけでなく、社会的に成功している人に嫉妬するのがバカバカしくなる気すらしてくる。

しかし、そんなひねくれた考えの持ち主がHSPの概念に感化されればされるほど、HSPなるものの胡散臭さや自称HSPな人の地雷臭が際立ってしまう。ましてや、HSPブームに対して疑問視する人が増えるのは、言うまでもないだろう。