アニメや漫画、鉄道、アイドル、パソコンといったいかにもヲタ臭のするものから、数学、自動車、歴史、食文化、機械、法律、経済、医学…など、なにか一つの分野に詳しい「オタク」と呼ばれる人は、自身の専門分野があることから賢いとか勉強ができそうという印象を受けることが多い。
実際に自分の興味のある分野になると、マシンガンのように知識を披露してくれることから「この人は物知りだし、勉強もできそう」と感じるのも自然なことだろう。
もちろん、特定分野のみならずほかの分野にも詳しい、そして学校における勉強も、難なくこなせる器用なオタクはいるにはいるが、必ずしも「オタク=勉強ができる」わけではないと、私は感じている。
今回はそんな勉強ができないタイプのオタクの特徴について、個人的な見解を語ろうと思う。
必ずしも「オタク=勉強ができる」わけではない
まず、冒頭でも述べたようにオタクな人は、ある特定分野に特化しているだけであり、いわゆる学校の勉強やテストのように万遍なく勉強する能力が必ずしも備わっているわけではない。
また、興味のあることが学校の勉強に関係に多少でも関係のあること(歴史、数学など)であれば、学校と趣味の勉強が一致して、良い学業成績を収めやすい。
しかし、えてして学校で習うことと趣味が一致することは少なく、勉強が出来そうな雰囲気はあるものの、実際はそれほど勉強ができるというわけではないオタクや、まるっきり勉強ができないタイプのオタクもいるものだ。
とくに、後述するように学校の勉強から逃げる形で趣味の世界に没頭するタイプのオタクは、話してみるとたしかに弁が立つので、なんとなくでも「頭が良さそう」という印象を持ちやすい…が、実際はどうしようもないぐらいに勉強ができないケースもあるのだ。
やるべき勉強をせず、しなくてもいい勉強に費やして学業成績が悪化する
勉強のできないオタクに顕著なのが、学業や就職活動・仕事のように生活する上でやるべき勉強から逃げて、代わりに趣味や娯楽のようにしなくてもいい勉強に時間を費やしてしまうというケースだ。
学校の勉強から逃げて、アニメや漫画の情報をくまなくインプットする。おそらく今後二度と使うような知識でもないし、せいぜい個人ブログやSNSで発信するか、ただ知ることを楽しむという贅沢な時間の浪費にしかならない知識の詰め込みのために時間と労力を費やしてしまった結果、興味のある分野は博学だけど学業、仕事の成績は振るわない…というようなオタクになってしまうのだ。
もちろん、趣味の存在を否定しているわけではない。しかし、趣味を充実させたければ、まずは学業、仕事など自分の人生(とくに進路、収入)に大きく関わることを疎かにするのは賢い選択とは言えない。
その辺の優先順位の付け方をいつまでも学習できないところを見ていると、仮に一つの分野にのめり込む素質があるとしても、その素質を自分で活かすことができない「惜しい」人のように見える。
まぁ、現代ではyoutubeやSNSを駆使して情報発信によって生計を成り立たせる方法もあるにはあるが、そのためには自分の興味のある分野の勉強ばかりをしていてもいいというわけではない。パソコンスキル、コミュ力、メディアリテラシー、動画編集スキル…など、上手に稼ぐために必要なスキルを勉強することが
好きなことで生きていくと言えば聞こえはいいが、好きなことをするためにはある程度安定した収入を獲得して生活基盤を磐石にしておくことが重要である。
そのためにも学業・仕事の勉強をするのが重要なのは言うまでもない…と、いわゆる「好きを仕事に」というキャッチフレーズに影響されて参入してくる人が多い、クリエイティブ職をしている私は強く痛感する。
しなくてもいい勉強が出来てしまうせいで、余計にやるべき勉強から遠のいてしまう
最後に、ある一つの分野にのみ詳しいオタクにあるのが、自分は特定の分野においては博学であるという自己認識のせいで、自分の専門外の分野を真摯に学ぶ姿勢が無くなってしまうという現象だ。
この現象はおそらく、自分で自分を賢いと認識しているからこそ、その「賢い自分」を揺るがすような自分の専門外の分野を学ぶことに対して、過剰に恐怖心を抱いているのだと私は考えている。(実際に賢いのは専門分野のみなのだが…)
専門外の分野に飛び込んで自分の未熟さを痛感して苦痛を味わうような状況は避けたい。そのためにも、自分の専門分野の世界に篭城し、専門外の世界にある学業や仕事などの勉強をすることは頑なに拒否するのだ。
よく自分の興味のある分野には時間と労力を惜しみなく使うのに、学校や仕事の勉強は全然しようとしない人には、この手の「(専門分野でのみ)勉強ができる自分像」にとらわれている人が多いように感じる。
たとえどんな分野であれ、勉強ができるとか物知りであることは素晴らしいことだと思う。しかし、素晴らしいからといって無批判に褒め称えるものではないし、場合によっては専門分野での成功体験が実生活において足を引っ張る要因になることもあると感じてならない。
…なお、余談だが専門分野のオタク、マニア、専門家が専門範囲外のことに首を突っ込んで炎上&問題視されるケースも、専門分野における成功体験が起因していると思う。
専門分野の外の世界に口を挟まないという点では、興味のあること以外に手を出さない人は、まだマシな方なのかもしれない。