自己肯定感ブームが正直うざいと思う理由

メンタル・心理
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最近に限った事ではないが、書店でもネットでもTVでも、何かにつけて「自己肯定感」という単語を見聞きすることが多い。

もちろん、単に見聞きするだけなら問題ないのだが、大抵は

  • 「自己肯定感を上げるための~」
  • 「自己肯定感が低い人はこんなリスクが…」
  • 「科学的に証明された自己肯定感がある人の○○」

という、いかにも健康増進、自己研鑽、自己啓発の色が強いキャッチコピーが続くものだ。

正直言ってこの手の情報が溢れている今の世の中、なんだか気持ち悪いなぁと感じると同時に、こうした情報が(一部の界隈かもしれないが)もてはやされている現在の日本は、なかなかに闇が深いと感じるばかりである。

今回は、そんな自己肯定感の流行に関して思うことをつらつらと書いていく。

 

自己肯定感に関するキャッチコピーにうんざりする

冒頭でも触れたが「自己肯定感を上げるための~」みたいなキャッチコピーにうんざりしているのは、おそらく「今のあなたは幸せですか?」と問われているように思えるからだと私は分析している。

なんだか新興宗教じみているよう感じがするし、そもそも幸福かどうかを自己肯定感だけで決めるのは無理があると考えている。そもそも、幸せかどうかを聞く時点で、余計なお世話だろう。

なお、私は自己肯定感という単語とその内容を知る前と知った後とでは、とくに幸福度に変化があるとは感じていない。

 

「何をそんなに自己肯定感に飢えているの?」と感じてならない

私がひねくれているせいか、自己肯定感の流行を見て「何をみんなそんなに自己肯定感に飢えているのだろうか?」とか「そんなに自分を肯定しなければいけないほどに逼迫しているの?」と純粋に疑問を感じているフシがある。

そして、自己肯定感ブームにどっぷりはまっている人は「自己肯定感さえあれば人生うまくいく!」というような、極端且つな単純すぎる考え方をしているように思えて、どうも共感とか感情移入するとか以前に、ツッコミを入れたくなる衝動にかられてしまう。

もちろん、自己肯定感ブームをこうして見物出来るのは、自分が恵まれた環境にいるのかもしれないし、ただの高みの見物をしている暇人と言われても否定はできない。

 

自己肯定感を上げたい人はどこまで上げれば満足するのだろうか

自己啓発や自分磨きブームの時にも感じたことだが、この手の自己研鑽を目的としたブームの厄介なところは、上限がないということだ。

つまり、あらゆる方法で自己肯定感を上げ続けても「まだまだ今の自己肯定感では満足できない!もっと自己肯定感を上げなければ!」と躍起になって、いつまでもたっても心身ともに気が休まらない状態になる怖さがあるのだ。

まるで、健康を追求するあまりにどんどん不健康になっていく健康マニアのような状態になるのが目に見えてわかっているからこそ、最近の自己肯定感アゲアゲブームに対して、どうも冷めた目で見てしまうのだ。

おそらくだが、自己肯定感に飢えている人は「どこまで自己肯定感を上げれば自分は満足するのか」という視点がまるっきり抜けているように感じる。

そのため後述するように、自己肯定感に関するサービスや商品を売る側からすれば、非常に優れた顧客なのだろうと思う。

 

金儲けとして見た場合、自己肯定感ブームは優秀ではあるが…

かつて流行ったライザップのように、体重を落とすことを主眼としたビジネスでは、体重の落としすぎによる顧客の健康悪化が起きないよう、ある程度体を絞れたらそれ以上減量をしないのが普通だし当然だろう。(体重のように)数字で表せる指標に関する健康ビジネスの場合、顧客が不健康にならないような数値目標を設定して守ることが重要になる。

しかし、自己肯定感の場合は体重やスリーサイズのように数字で表されるものではない。そのため、その気になればどこまでも顧客に「自己肯定感をあげましょう」と謳って、サービスなり商品なりを供給し続けることができてしまう。つまり、長期のリピーターを確保がしやすいのが特徴的だ。

また、普段から謙遜や謙虚などへりくだることや自分を戒めることが多い日本人にとって「自己卑下せず自分を肯定することが大事」という言葉は響きやすい。おまけに昨今の新型ウイルス&経済・学力面での格差の拡大と固定化の動きにより、ますますメンヘラな人が増えていくであろうことも予想出来る。

こうした状況を踏まえれば「自己肯定感」に関する市場は、今後ますます拡大していくだろう。そして、拡大市場であるからこそ「自分も自己肯定感に関するビジネスをしよう!」と新規参入者が増えるのも頷ける。

ただし、この手のビジネスは言い方は悪いが心身が弱っている人を食い物にしている側面が強いと私は感じている。(持論だが「HSP」の流行も同様の側面があると見ている。)

倫理観を投げ捨てればたしかに稼げるかも知れないし、多くの人に感謝されるかもしれない。しかし、一歩間違えれば霊感商法、資格商法、マルチ商法や詐欺などの悪徳商法になり、一線を超えてしまいかねない危うさがある。

今私が調べた範囲でも「自己肯定感が上がる音楽」とか「潜在意識に呼びかけ自分を愛せるようにな動画」のような似非科学臭さのある動画がyoutube上でアップされている。そのうち「自己肯定感が上がる水」とか「自己肯定感を下げないための壺」みたいなトンデモ商品が出てきたりしないだろうかとヒヤヒヤしている。

そんな危ういビジネスに直結しやすい自己肯定感なるものを、あらゆるところで見かけてしまうことが、違和感やモヤモヤの主たる原因なのではないかと見ている。

 

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