本気を出すのが怖いと感じる人の心理を説明する

メンタル・心理
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かつて意識高い系の大学生だった頃、同じく意識だけ高い学生達の中に、どこか本気を出すことをためらっているというか、自分の全力を知ることを怖がっている人たちが多いと思うことがあった。

そして、そんな意識は高いけど本気を出すのをためらっている自分をごまかすために、やれ「汗水たらして努力するのは時代遅れ」だとか「もっと効率よく、コスパを求めることが大事だ」と屁理屈をこねている人も多かった。

今回は、そんな人達と関わってきた経験も踏まえて、本気を出すのが怖いと感じている人の心理について、個人的な見解を述べようと思う。

 

本気を出すのが怖いと感じる理由

本気出してダメだった時の衝撃に心が耐えられない

なかなか本気を出そうとしない人は、もし仮に本気を出して自分の思うような結果が得られなかった時に耐えうるだけのメンタルのタフさが無い。

加えて、本気を出さないことで周囲から指摘されたり、呆れられたり、失望されたりするといった反応にも耐えられないので、冒頭でも述べたように屁理屈をこねてとりあえず「自分は頑張っている」とか「真面目に努力している」と表面的にアピールして、その場をやり過ごそうとするのだ。

なお、中途半端な努力によって叩き出した中途半端な結果を出しても、それほど本人はショックを受けていないように思えることが多々あった。

これは推測だが、本気を出していないために「まだ自分は全力を出していないし、本気出せばもっといい成果を出せる」という心理的な余裕を保てる状態だからこそ、大きなショックを受けず済んでいるのだと思われる。

ただし、辛辣なことを言えば「まだ自分は本気出してないだけ」状態で出した結果であっても、第三者から見れば「本気出してない状態がその人の全力であり実力である」という類の評価をされても仕方が無いとは思う。

 

自分の全力がどのぐらいのレベルかを知るのが怖い

本気の自分を恐れる人は、本気を出した結果としてわかる自分の能力の上限を知ってしまう事への恐怖心が強い傾向がある。

とくに、学力や偏差値、身体能力、獲得した内定の量と質、年収や仕事での役職…のように、他の人と容易に比較できてしまうもので優劣が付けられたり、今の自分の立ち位置を知ることに屈辱を感じやすいために、意識的に努力することを回避する、あるいは競争の場面そのものを回避したがる。

なお、本気を出すのを恐れる人は「自分の全力が他の誰よりも優れていなければいけない(=自分がナンバーワンであるべき」)という極端な思考を持つ人が目立つ。

この思考のせいで、自分がナンバーワンになれない競争からはどんどん逃げて、自分と同じかそれ以下の人がいるようなコミュニティを探して、受験や就職先のランクを下げたがる。

…もちろん、上を目指すばかりが正解ではないが、自分で自分を甘やかしたり正当化する癖が付くため、まっとうに努力しているいい人からそっと距離を置かれてしまいやすくなるリスクが高まるのだ。

 

燃え尽き症候群になるのを恐れている

本気を出した結果として、精神的に燃え尽きてしまう状況を回避するために、あえて本気を出さない生き方をしているケースもある。

このタイプの人は、かつて部活や受験で燃え尽きてしまい苦労をした経験を繰り返さないために、あえて自分をセーブする生き方をしているケースがあるので、一概に努力ができないタイプとは言えない。

ただし、一度大きな成功を成し遂げた後は、その時の栄光とその後の燃え尽きを回避すべく、どれも中途半端な努力になって燻ってしまうことが目立つ。他にも、「本気にならなきゃ」と言う気持ちばかりが募って中途半端な努力すらせず、現実逃避をしてしまうパターンも目立つ。決して前向きな言い方とは呼べないのだ。

 

一つのことに打ち込む選択をすることがリスクだと考えてしまう

自分磨きのために、読書、筋トレ、瞑想、外国語…など、あらゆるものに手を出したり、本業のほかに副業や投資に手を出すなど、色々なことに打ち込見たがるタイプもまた、本気を出そうとしない人に多い。

このタイプの人は、「本気を出す=一つのことに時間や労力投資する=うまくいかなかった時にリスクが大きくなる」と考えてしまう癖がある。もちろん、一つのことに集中すればその分リターンが大きくなるはずなのだが、そのリターンよりもリスクを過大評価してしまう。結果、あれもこれもと多くのことに手を出して、リスク分散を試みようとしているのだ。

ただし、分散することは賢い選択ではあるが万能な選択ではない。当然ながら、労力が分散するためどれも中途半端な成果になったり、素人に毛が生えた程度の結果しか出ないことも起こりやすい

加えて、中途半端な結果であっても「長期的に見れば間違いではない」と考えて自己正当化することもある。まるで、含み損のある株を損切りができずに塩漬けしてしまう初心家投資家のように、事実を自分に都合よく解釈してドツボにはまるのだ。

この手の人は、「選択」はできても「集中」ができていない。器用に物事をこなせる人間でないのなら、まずは一つのことに専念することから始めるのが賢明だろう。