仕事でも勉強でも、はたまた趣味の世界でも、ちょっとでも嫌なことや難題にぶつかるとすぐに逃げ出してしまう人、怖くなって何もかも投げ出してしまう人はメンタル面に一定の特徴があるように感じる。
とは言え、大抵は「逃げ癖のある人=プライドが高い、自信がない」と結論づけられてしまいがちだが、よくよく見ていけば、そう簡単に結論づけられるようなものではないと私は考えている。
では、具体的にどういう特徴が見られるのか…について、主にメンタルや考え方の観点から、逃げ癖のある人の特徴を語っていこうと思う。
嫌なことから逃げる人のメンタル面の特徴
ゼロリスク・ゼロストレス思考が強い
嫌なことがすぐ逃げる人は、とにかくリスクやストレスといった自分に負荷をかける要素を排除したがる傾向が強い。つまり、ゼロリスク&ゼロストレス思考が強いのだ。
一般的に考えると、リスクやストレスはネガティブなもの、とくにメンタル面にとっては有害なものだと考えられており、それらを排除しようとする思考には合理性がある。
しかし、なんでもかんでもリスクやストレスを排除しようとすれば、まともな社会生活が送れなくなるのはいうまでもない。
受験であれば苦手な分野での失点を回避すべく克服するためにある一定のストレスを受け入れざるを得ない。仕事においても、損失を受ける可能性はあるが、それ相応に利益が出る可能性もあるからこそ、リスクを取って仕事を獲得するという場面もあるものだ。
そういった、何らかの心身への負荷を受け入れてはじめて手に入る成長や利益を享受することよりも、そもそも心身への負荷をかからない状況を手にしたがることを優先した結果、ちょっとでも嫌なことが起きるとすぐに逃げてしまう…という現象が起きるのだ。
なお、この特徴は見方を変えればストレス耐性がないとか、我慢強さがないと言われるが、本人は至って合理的で正しい判断をしていると考えているフシがある。このことが、逃げ癖が治りにくい元凶であるうと思う。
プライドが高すぎて結果が出る前に逃げて帳消しにしたがる
逃げ癖のある人は、過剰なプライドの高さゆえに自分の実力以上の仕事をしようとする反面、大したことが無い結果で終わりそうなのが濃厚になると、苦し紛れの言い訳をしたり、過去の発言をなかったことにしたり、有耶無耶にするなどして逃げることが多い。
これは客観的に見て中途半端な結果が出ることに耐えうるだけのプライドではない…つまり、非常に脆くて繊細なプライドを持っているために、自分が理想としている結果でない限りは、どんな結果でも自分のプライドを根底から崩してしまう脅威であると考えてしまっている。
そんな脅威を潰すためにも「結果が確定する前に逃げればいい。そうすれば中途半端な結果で自分のプライドを傷つけずに済むし、自分の醜態を晒さなくても済む」と考えて結果が出る前になると逃げ出すのだ。
ただし、どんなでも結果を受け入れようとせず見苦しく言い訳をしたり、屁理屈を並べたてる姿は、たとえ当人のプライドの傷付きを回避できたとしても、傍目から見れば非常にみっともなく見るに堪えない姿であることは…わざわざ言うまでもあるまい。
予防線を張って逃げるための準備をしてから挑戦したがる
嫌なことから逃げたがる人は、何か新しいことに挑戦する前から予防線を張りたがる傾向がある。
- 「まぁ、自分には才能ないから…」
- 「めんどくさいけど…」
- 「まぁ、とりあえず無理ならやめてみるよ…」
など、潔さの欠片もないような言葉の数々を口にして、あたかも「今から自分のやることは途中で逃げても仕方がないようなことだから…」と自分に言い聞かせているような口ぶりで、何かに挑む傾向がある。
つまり、何かを始める前からもうすでに撤退戦の準備をしている、及び腰になっているのだ。そんな「失敗してもいいや」という諦め、投げやり感、真剣味の無さが目立つへっぴり腰な姿勢では、応援する方も「あぁ、この人そのうち逃げるだろうなぁ」と思うのも無理はないだろう。
不安や失敗を大げさに捉えてしまう認知の歪みがある
逃げてしまう人には、必要以上に不安や失敗を大げさに捉えてしまい、過剰に怖がる、萎縮してしまう傾向がある。
そこまで怖がらなくていいものを、まるで自分の人生を大きく左右する事柄のように拡大解釈してしまうので、冷静さを欠いてつい衝動的に逃げ出したくなってしまう…そんな状況に自分で自分を追い込んでしまう癖が身についているのだ。
もちろん、新しいことに取り組むのに不安や迷い、恐怖はつきものだ。しかし自分が感じている不安を正しく、そして冷静に見れない…という認知の歪みに気づかないと、逃げ癖は改善しづらいと思う。
「逃げてもうまくいった体験談・エピソード」を調べたがる
嫌なことから逃げたくなる人は、何かと「逃げてもうまくいった体験談・エピソード」をテレビやネットなどで収集したがる癖がある。
当然、今やっている仕事や勉強から逃げたことで何らかの不利益を被ることはあるだろう。しかし、逃げたことでうまくいった誰かの経験談を知れば、安心して逃げる決心がつく。
おまけに逃げた方が年収が上がったり、労働時間が減って楽な生活ができるという情報があれば、逃げる事に対して肯定的に捉えられるようになるだろう。
ただしこれの落とし穴は、逃げてもうまくいった体験談を精査せず鵜呑みにしてしまう事だ。
- ひょっとしたら体験談に嘘や誇張表現が含まれている。
- ごくごく幸運な逃げて成功した事例だけにすぎず、自分もうまくいく確率は限りなく低い。
- そもそも全くの嘘デタラメで、逃げたい衝動にかられている人を食い物にしている悪徳商法におびき寄せるための作り話。
という、およそ信じてはいけない類の体験談ですらも鵜呑みにしてしまう危険性があるのだ。