「副業で心理カウンセラーになりお金儲け!」という情報発信についての疑問点

メンタル・心理
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HSPに関して色々調べている時の話だが、「いわゆる心理カウンセラーは副業にピッタリ!(軌道に乗れば)短時間で高収入が得られますよ」という類のいかにもなブログ記事やyoutube動画、場合によってはウェブ広告を何度も目にしたことがあった。

これについて、一応国立大の教育学部卒、特別支援教育や発達臨床などについて学生時代に勉強&実習した私の個人的な見解…というか、疑問に感じることを以下にまとめる。

 

※1 私はHSPや自己肯定感をはじめとしたネット上で話題の(一応は)心理学の概念そのもの、およびその情報を発信する人については懐疑的なスタンスの立場である。そのことを踏まえた上で記事を読んでいただければ幸いである。

※2 この記事では「心理カウンセラー」に焦点を当てているがコーチング、メンター、コンサルティング、アドバイザーなどの肩書き・仕事にも同様の疑問点や共通点があると私は考えている。

 

精神的に病んでいる人が精神的に病んでいる人を助けるのはただの地獄では?

まずはじめに、心理カウンセラーが儲かるor副業におすすめと情報発信しているブログやyoutubeのコメント欄をざっと確認してみると、どうも今まさに精神的な問題を抱えており社会に馴染めていない人が賛同や感謝を示す意見が多かった。

また記事・動画単体で見るのではなく、ブログやyoutubeチャンネルを全体で見たときに、どうも今まさに精神的に病んでいる人をメインターゲットにしたと思われるような記事・動画が多く投稿されていた。

ここから推測するに、精神的に病んでいる人に向けて「心理カウンセラーはおすすめですよ」と主張している。

意地悪な言い方をすれば、精神的に病んでいる人が精神的に病んでいる人を助けるという名目で金儲けすることを推進しているように見えて、なんだか嫌な気分になった。

更に嫌な表現だが、精神的弱者が精神的弱者を食い物にすることを推奨している…という、マルチ商法や悪徳商法で見かける構図と非常によく似ているものを感じてならなかった。

 

 

一応でも大学で実習含めて対人援助がなんたるかを学んだ身からすれば、勉強不足&健康問題を抱えたままの人がお金欲しさや人恋しさ欲しさに、安易に対人援助の仕事に就くことは、純粋に疑問を抱かざるを得ない。

ぶっちゃけると「自分の精神的な病みや日々の問題を解消してから、他人を助ける仕事をするのが筋では?順番が逆でしょ?」と思った。

普通に大学等で長年勉強や実習を通している人に大して失礼だし、安易なカウンセリングが跋扈するようになれば、心理カウンセラーひいては心理カウンセリングそのもののイメージ悪化に繋がる。

悪貨が良貨を駆逐するように、素人同然の人が勝手にカウンセラーを名乗る行為、そして大体的に宣伝広告する行為は、今までまっとうに心理カウンセリングをしてきた人たちに大して純粋に害を及ぼす行為であると感じている。

 

…とはいえ、心理カウンセリングについては

  • 資格商法の温床であること。
  • 自称でも「心理カウンセラー」という肩書きを名乗っても問題無い(=現時点では業務独占資格ではない)。
  • 初期投資が少なくて済む。
  • オンラインカウンセリングにすれば場所を選ばずに働ける。
  • 客単価を高く設定しても違和感をもたれにくい。
  • 「人を助ける仕事」という社会正義性や大義名分があるため、悪質と思われる商売をしても疑いの目を向けられにくい。

などの要因があるため、ある意味商売をする分野としては「美味しい」と目をつける人がいるのも理解できる。

ただ、「美味しい」と目をつける人の中には、儲け主義に傾倒しすぎて客を錯誤させたり、最初から客を泣かせることも厭わないようなビジネスモデルを企てている人も紛れ込みやすい。

 

 

コンプレックス商法と心理カウンセリング

福祉・教育・医療といったものではなく、純粋に商売として見た場合、心理カウンセリングは他人のコンプレックスを扱う商売と表現できる。

…何が言いたいかというと、その気になれば見込み顧客の劣等感や危機感を煽って冷静さを失わせ、高額なサービスや商品の契約を迫る悪徳商法(=コンプレックス商法)になりやすいという特徴がある。

ネット上に溢れる「自己肯定感で悩んでいませんか?」とか「繊細すぎて生きづらいと感じていませんか?」というたぐいの情報は、優しく寄り添っているように見えて、実は感じなくてもいい不安を想起させる側面も持っている。つまり、優しいように見えて実は他人にコンプレックスを抱かせる腹黒さがある情報なのだ。

 

また、コンプレックスを扱うという性質上、仮に契約を結んだ客が違和感や疑問を抱いたとしても、そのことを第三者に相談するのには心理的なハードルが高い。

つまり、何らかの被害を受けたとしてもそれを然るべき相談場所や行政機関に相談できず、泣き寝入りになってしまいやすいのだ。

 

加えて、心理カウンセリングは精神的に弱っている人がターゲットである以上、

  • 客自身が被害を受けているということを自覚して、更に心の傷つきを感じるのは避けたいという心理が働き、被害を被害だと思わなくなる。詐欺師に騙されているのに「私は騙されていない」と主張する人と似たような状態と言える。
  • そもそも頭がうまく働かないため、客が被害を感じたとしてもどこに相談すればいいかについて考える能力も一時的に失われている可能性がある。つまり、泣き寝入りしやすい。

という問題が起きることも考えられる。

 

もちろん、ここまでひどいケースになるのはごく一部だとは思うが、気軽に「心理カウンセラーは副業としておすすめ」という明るい情報の行き着く先には、弱者が弱者を食い物にするような目も当てられない世界が待っていてもおかしくないと私は考えている。

「他人を助けることを重く考えるべき」という考えは今のご時世に即していないとは思うが、少なくとも安易な金儲けや自己実現のために人助けをすることを軽く見る意見には私は同意しかねる。