私の個人的な見解だが「自分って器用貧乏なんだ」という人のなかには、コンプレックスや弱味を語っているように見えて、実は自分の行動力の高さや興味関心の広さについてそれとなく自慢したい…という下心を持っている人が思いのほか多いように感じる。
今回はそんな個人的に器用貧乏な人に感じる、どこか残念なモヤモヤとした気持ちについて個人的な見解を述べていく。
何もかも中途半端なのに「器用貧乏だと」勘違いしてしまっている
正直に申し上げると器用貧乏だと自称する人の中には、普通に生きている人ですら当たり前に出来そうなレベルにまで一つの物事に打ち込めない人が目立つ。
集中力もなく持続力もない。体育会系的な言い方で言えば根性やストレス耐性がない。すぐに諦め投げ出すが、そういっただらしのない自分を周囲に正直見せるのは抵抗があり、どうにかして自分を良く見せたいがために「自分葉器用貧乏だ」とまるで自分と周囲に言い聞かせるために言っている人が割と多い。要するに、クズなクセに見栄っ張りでええかっこしいなのだ。
そういう人を見かけるたびに「それは器用貧乏でもなんでもなくただの飽き性では？」とか「あなたは普通の人なら投げ出さずにやり遂げるようなレベルにまで達していないのに”器用”って自己評価するのは、少々自分に甘い評価をしているのでは？」とお節介なツッコミを入れたくなる衝動に駆られる。
(まぁ、誰もが何か一つのことに打ち込むようないわゆる「ガチ勢」的な人ばかりではない。いわゆる「エンジョイ勢」な自分を器用貧乏だと自己評価している人に対してツッコミを入れるのは、純粋に野暮なことだとは思うが。)
楽しいと思えるところまでしか頑張れない、本気になれない自分を慰めるための器用貧乏
私が思うに、自称器用貧乏な人は勉強なりスポーツなり何かを始めようと意識し出した時にやる気が最高潮を迎え、次第にやる気が下がっていく…という感情の動きをしている。
そして、自分が楽しいと思えるような時は比較的やる気が安定しているが、ちょっとレベルを上げて精神的なストレスが掛かり出す場面…つまり、面白さが薄れて苦を感じるような場面になると途端にやる気が失せてしまいそのまま諦めてしまう傾向がある。
もちろん、器用貧乏を自称していない人でもストレスがかかればモチベーションが下がるものだ。しかし、ここで「今はしんどいけどこれを乗り越えれば成長が待っている」とか「ここで諦めてしまったら純粋に悔しいし頑張る」とか「一度やると決めたことなんだから…」と踏ん張ることができる。結果、成績なり自分の身体能力が上がるという喜びを入手できる。
この(人によっては「何を今更」と言いたくなり当たり前だと感じる)一つの物事を極めるためのプロセスをたどれないのが自称器用貧乏な人には多いと、私は感じている。
彼らは自嘲気味に器用貧乏だと自己紹介するが、それは一種のコンプレックスの裏返し…つまり、本気になれない自分を慰めるために言っているのだと分析している。
器用貧乏な自分を自己肯定した末路としてあるもの
かつて意識高い系の大学生と関わっていた時には、なにかを始めてはすぐにやめるという軽率な行動力を存分に発揮している人がいて、ついツッコミを入れたくなった…が、ここでツッコミを入れると「努力している人の姿を否定するのか？」というような態度を見せる普段の言動から明白だったので、私も周囲も放置していた。
次第に自称器用貧乏な人は増長し、所詮あらゆる分野に首を突っ込んでは面白くなくなるとすぐに投げ出しているだけなのに、変な万能感or全能感というか「そんな自分を自己肯定していいのか？」と思いたくなるような狂った自己肯定感を身につけていくことがあった。
わかりやすく言えば「あらゆる物事に興味がある自分ってイケてる」とか「多趣味な自分ってかっこいいし才能あるだろ？」というたぐいのナルシストっぷりの勘違い野郎感が強くなっていき、だんだん見るに堪えない状況になっていった。
実態は何もかも中途半端で、少なからず周囲の人が自称器用貧乏な人の尻拭いをしている。それなのに「自分はなんでもできる」と全能感バリバリである。
重ねて言うが、その実態は「(中途半端なレベルであれば)なんでもできる」という状態であり、実力的には普通の人以下である。自己評価と周囲の評価に著しい乖離があるが、どうもそのことには気づいていない…そういう恥知らずで身の程知らずな姿が残念だと映るのだ。
まぁ、こういう姿は若さゆえの過ちであり、若者だからこそできる一種の特権という見方もできる。しかし、若さゆえの過ちということで変な自己肯定をしてしまいそのまま突き進んで変な自己肯定感が身についてしまうのではないかと個人的に心配になっている。
