私が「褒める人には油断するな」と思う理由を語る

人間関係・コミュニケーション
この記事は約5分で読めます。

ひねくれた考え方だと自分でも思うが、私は簡単に私を褒めて来て近寄ってくる人に対しては、好印象を持てない。むしろ「何か裏があるのだろうか?」と下衆な勘ぐりをしてしまう性分である。

では、なぜ私が褒めてくる人を疑うという、他人の善意を突っぱねるような考えを持つようになったかについて、今回は語ろうと思う。

 

私が「褒める人には油断するな」と思う理由

褒めているのではなく見下している、マウントを取りに来ている可能性がある

一般的に褒めてくる人と言うのは、褒める人のことを尊敬している、心から応援しているといった、善意に満ち溢れている人…という印象をお持ちのことだろう。

しかし、褒め言葉の内容や褒める時の態度、仕草によっては、決して純粋な善意ではなく、むしろそれとなくマウントを取るために褒めてしまう人もいるものだ。

例えば、自分は職場において新人であり、仕事でいい成果を出したとする。その時に先輩から「すごいね!」と褒められたとしよう。

偏見なく見れば、後輩を褒める優しい先輩という構図だろう。しかし、少し見方を変えれば

  • 「(新人にしては)すごいね!」
  • 「(自分の方がもっと仕事ができるけど)すごいね!」

と、どこか上から目線で且つ自分よりも経歴の浅い人が頑張っているのを認められる人間だと周囲に誇示するために、相手を褒めている…という見方もできてしまう。

この傾向が強くなる時の褒め言葉の特徴は、どうとでも取れる抽象的な内容であることが多い。つまり、誰に対して言っても問題ないぐらいに中身がない褒め言葉、褒める人のことを詳しく知っていなくても言えてしまう類の褒め言葉である。

 

褒めているのではなく、おだてて心理的に誘導しようとしている

褒めるというコミュニケーションには、褒めることによって相手の気分をよくさせるだけでなく、気分をよくさせることで、相手を心理的にコントロールすることができてしまう側面もある。つまり、おだてることで褒める人になんらかの利益が出るように、相手を誘導できる側面があるのだ。

例えば、SNS上で自分よりもフォロワーの多い人(インフルエンサー)に対して、熱心に褒め言葉を送っている人はいい例だろう。

本心は自分よりもフォロワーの多い人を尊敬しているのではない。相手が気分を良くしてくれたことで関係を持つようになる。そこから、インフルエンサーから紹介されて自分にも多くのフォロワーがついて注目度と影響力がアップする…という目論見があるからこそ、積極的に褒めている。つまり、ゴマすり目的と言う下心から褒めているのだ。

こういう事例があるからこそ、簡単に褒めてくる人に対しては、無条件に受け入れるのではなく冷静に見ていく必要がある。

「褒めてくる人に悪い人がいるはずないし、褒める人を疑うのは良心が痛む」と感じるよりもまず、その人がなぜ褒めてきているのか…について、思いを巡らせてみることが大事だと私は思う。

 

心にもないことを平気で言う癖が身についている人の可能性がある

簡単に褒め言葉を口にする人もまた。私は要注意すべきだという考えを持っている。

なぜなら、褒め言葉はその人の本心ではないし、本心ではないからこそそれっぽい言葉ベラベラと口にすることが容易にできてしまう。

つまり、日頃から嘘やでまかせを躊躇なく言ってしまう癖が身についており、およそ素直さや誠実さを感じられない部分のある人だからこそ、簡単に褒め言葉を口にする人には要注意しているのだ。

本当に、褒める人のことをよく見ているのなら、ありきたりな褒め言葉では収まらなかったり、たくさんいいたいことがあるけれど、うまく言葉にまとまらなくなるものだろう。

にもかかわらず、べらべらと褒め言葉のマシンガントークをしてしまう人は、それだけ褒める人のことを見ていない。褒められる人によっては「この人は、褒めることが目的ではなく、褒めた先にある人脈や社会的な利益を手に入れることが目的ではないのか?」という懐疑心を抱かせてしまうのだ。

 

初対面であからさまに褒めてくる人ほど要注意

初対面なのに、あからさまに褒めてくる人もまた、要注意すべきである。

とくに、自分からSNSなどで何も情報発信していないのにもかかわらず、あたかも自分のことを知ったかのような立ち居振る舞いで褒めてくる…というか、褒め言葉を拒絶させる好きすら与えないように褒め殺してくる人は、結局は褒める人よりも、褒めている自分に酔っていたり、相手のペースを無視してしまう自己中心的な性格の持ち主である可能性が高い。

また、「褒めて喜ばない人はいないよね」という無言の圧力をかけると同時に、その圧力に屈するぐらいにチョロい人であるかどうかを試す目的で、接してきている可能性も高い。

どちらも、褒めるという善意で見られる行動を隠れ蓑にして、自分の欲求を押し通そうとしている。相手を軽んじた行為であることに変わりはない。

 

最後に余談だが、「褒めて喜ばない人はいない」という人間関係の本質的(?)な言葉が広まっているせいか、とにか初対面で褒めておけば無難である、嫌われることはないと短絡的に考えている人は少なくないように思う。

もちろん、褒め言葉の裏を探ったりしない人、褒められたい欲が強い人であれば、この言葉は真実かもしれない。

しかし、上でも触れたように褒めることは万能ではないし、むしろ相手に不信感や違和感を抱かせたりする。「この人とりあえず褒めておけば親近感を持ってくれるだろう、とタカをくくっていやがるな」と見透かされてしまい、褒め言葉が効かない人は年齢を重ねている人ほど目立つように感じる。

人間関係は褒めればうまくいくしヌルゲーだ…なんて考えていると、いずれ痛い目をみるだろう。

 

…と、いうことを述べて、ここでお開きにさせて頂く。