精神的に不安定な人を指す「メンヘラ」な人と関わったことがある人ならわかると思うが、メンヘラな人との人間関係は、どこか距離感がおかしいものになる傾向がある。
友人、恋人、職場仲間など、あらゆる関係においてどこかその関係の枠を逸脱し、妙に距離感を近づけようとしてくる。そして、近づきすぎてお互いがしんどくなると一気に離れる。あるいは、人間関係を全てリセットしてしまうというパターンが多い。
今回は、そんなメンヘラの人の人間関係の距離感がおかしくなってしまう理由を語ろうと思う。
メンヘラの人間関係は「狭く深く」が基本スタイル
まず、メンヘラな人の人間関係は「狭く深く」が基本系である。
多くの人と浅い関係を築くことが苦手である。あるいはメンヘラな言動のせいで、そもそも多くの人を自分から遠ざけており「自分に対して理解がある人とのみ関わればいい」というスタンスであるため、狭く深い人間関係を築いてしまうのだ。(これはSNSなどのネット上の人間関係でも同じ)
もちろん、狭く深い人間関係はメンヘラな人でなくても見かけるものだが、問題なのは相手対して多くの役割を求めてしまうところにある。
一般的な親友・恋人・仲のいい職場仲間、という関係性の枠に留まらず、それ以上の関係性を相手に求めてしまうところが、メンヘラな人の特徴であり人間関係がおかしくなる原因である。
メンヘラは相手に多くの役割を求めるので距離感がおかしくなる
例えば友達関係を例に出してみると、普通の親友という枠を超えてしまい、まるで自分の母親あるいは父親のように接してくるように求めてくる。
それも、いつも機嫌がよくて自分を認めてくれる無償の愛を注いでくれるような存在になるように友達に求めてくる。
当然、普通の友達でいようと感じている人にはその役割は非常に重たいものだ。そこまで愛情を注ぐだけの関係でもないし、そんなことをする義理や理由は普通の友達関係ならまずないものだ。
そして同時に、なんだか自分の気持ちや意思を無視されてメンヘラな人にいいように依存されているように感じてしまい、たとえ仲の良い友達であっても居心地の悪さを覚えてしまうのだ。
しかし、そんな友達の嫌がる態度を見ても、メンヘラの人は強い期待を寄せてしまうのをやめられない。
「自分は他人に期待しすぎてしまうのが悪い癖だなぁ…」と自覚していることもあるが、かと言って期待をかけるのをやめられず、数少ない友達に過度な期待を寄せ続けた結果、どちらかがギブアップしてしまうのだ。
そして、今までかかってきたストレスが爆発し、関係は一気に解消されてしまうのだ。
複数の友達がいれば、それぞれの友達に分散して適度な期待をかけられるのだが、最初から狭い関係を築いてしまうとこれができない。かと言って、広く浅い関係を築くことは苦手…ということで悩むのが、メンヘラな人にはよく見られるのだ。
人間関係の乏しさゆえに他人との距離感を磨く経験が乏しい
狭く浅い人間関係を好むために、必然的に自分と違う考え方を持っている人や、自分とは異なる環境で育ってきた人と接することは少ない。
つまり、多くの人と接する中で適度な距離感や、あらゆるタイプの人との接し方を身を持って学ぶ機会が少ないために、メンヘラの人は人間関係をうまく構築&続ける技術が育ちにくいのだ。言い方は悪いが社会を知らない、いや自分から社会を知ろうとしてないのだ。
また、人間関係構築能力の低さゆえに「自分から積極的に絡みに行こう」という主体的な姿勢は育ちにくく「誰かが自分に声をかけてくれるまで待とう」という、指示待ちな姿勢が身についてしまう。
そんな消極的な姿勢だからこそ、人間関係をうまく構築することはできないし、仮に構築できたとしても今の人間関係をより良いものにするために自分から相手に対して何かをする…ということはしない。
相手に対して「○○してくれるに違いない」という期待ばかりを膨らませ続けては、勝手に期待したことが叶わずに失望する機会を増やす。結果、人間関係を衝動的にリセットしてしまうのだ。
距離感のおかしさゆえに人間関係が続かないし、人間関係構築能力も磨かれないままになる
メンヘラな人は距離感のおかしさゆえに人間関係は続かないし、なかばリセットする形で人間関係を全て切り捨ててしまうために、長く続く人間関係を構築することは難しい。
本来であれば、友達同士で喧嘩しても仲直りする。つまり、お互いに意見を出し合い、落としどころを見極めて、しっかり「ごめんなさい」と謝って、その上で人間関係の崩壊を乗り越える…という経験をしないので、何か衝突があったら即リセットという建設的ではない方法で逃げ切る癖がメンヘラな人には目立つ。
狭く深い人間関係だからこそ、衝突した時にすぐにリセットしてしまうのではなく、いかにしてリセットを避けつつも、お互いに納得のいく形で前向きに関係を続けていくか…という交渉術は仕事でも恋愛でも欠かせないスキルだ。
そのスキルを身につけることもなく、駄々っ子のように未熟なメンタリティのまま大きくなってしまったのがメンヘラな人が人間関係で失敗する理由だと思う。
誤解を恐れずに言えば、精神的に未熟で大人になれていない。「自分が自分が」という姿勢で生きてしまうから、関わる人とよく衝突を起こしてしまう&反省ができず同じような衝突を別の関係でもまた繰り返してしまうのだ。