私が考える優しさと甘やかしの違いを語る

メンタル・心理
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優しさと甘やかしは、どちらも似たような概念ではあるはっきりとした線引きも難しいものだと思う。今回はそんな優しさと甘やかしの違いについて、私個人の見解を語ろうと思う。

優しくしているように見えて実は相手をただ甘やかしてばかりで、結果として相手を付け上がらせてしまった&相手に損をさせるような事態を起こさないためにも、参考にできる部分は参考にして頂ければ幸いである。

 

優しさは自立を促すが甘やかしは相手を堕落へと追いやる

私が思うに、優しさは相手に対して自立を促すように働きかけることが特徴であるのに対して、甘やかしは相手を自分に依存するように仕向けたり、自立を阻み堕落へと追いやってしまうという特徴がある。

ただし、堕落に追い込むからといって「今から相手を甘やかして堕落させてやろう」という明確な悪意があるわけではない。

むしろ根本には「相手のためを思って…」という真心があるのだが、その真心を自身でコントロールできず、相手に対して必要以上に手助けをしてしまった結果、相手の自立を阻んでしまうのだ。

私が思うに、「これ以上相手に優しくしてしまうと、相手がなんでも他人を頼るようになってしまうので、そろそろ優しさを振りまくのはやめておこう」というラインを超えてしまう人が、いわゆる他人を甘やかす人になってしまうのだと思う。

今まで優しくしてきた相手に対して、少し距離を置くことは簡単そうに見えて実は難しいものだ。なにせ今まで優しくしてきただけに「なんか急に冷たくなったなぁ」と不信感を持たれる事への怖さや、優しくしてきた相手(友達or恋人など)を失う怖さに打ち勝てず結果としてとことん優しく…もとい甘やかしてしまった結果、相手が自立する姿勢を奪ってしまうのだと考えている。

 

相手に対して厳しいことを言えるかが優しさと甘やかしの大きな違い

もう一つあるのが、相手が一時的に傷つくことを承知で厳しい言葉を言えるかという点も、優しさと甘やかしを分ける大きなポイントだ。

「良薬は口に苦し」ということわざにもあるように、精神的・社会的成長のためには、いつも甘い言葉や賞賛の声ばかりを浴びていては、勘違いを起こして調子に乗り大失敗をしてしまうのが世の常である。

えてして優しい人は、相手が喜ぶことや求めている言葉・態度を出して相手に好かれるのが得意であるし、そのコミュニケーションスキル・作法自体は人間関係を築くための基本中の基本である。

しかし、優しくしているからといってその行動がすべて肯定されるわけではない。時には相手に対してあえて厳しいことを言う場面も出てくるものだ。ましてや、自分が過度に優しくしすぎて、相手を天狗にさせてしまったという自覚があるのなら、その言動の責任をとって厳しく接することは、人間としてのスジであり、道理だと私は考えている。

しかし、ここで優しさから甘やかしに移行してしまう人は、相手が喜ぶような言葉をかけ続けてしまう、あるいは相手とそっと距離を置いて関係を絶とうとする傾向がある。

前者は露骨に調子に乗っている相手を煽っているのがわかるが、後者の場合だとぱっと見は関係が絶たれているために相手を甘やかしているとは見られにくい。「甘やかしている」と表現するのはやや強引だと感じる。

しかし、私から言わせてもらえば自分の手で相手を天狗にさせたのに、その始末を取ろうとしない姿勢は、相手に厳しい事を言えていない時点で甘やかしているのと同じであろう。

加えて、やらかした事を自覚しているからこそ逃げているという点においては、関係を保ちつつも甘やかしている人と比較して小賢しく、卑怯な面が目立つ。他人も甘やかすし、自分も甘やかしてしまうどうしようもない姿勢が染み付いている人といえよう。

 

怖くても優しい人はいるが、甘やかす人は優しく見えて実は怖い人

最近はあまり聞かない&若い人の間では支持されなくなっているが、一見すると怖い人でも実は優しくて思いやりのある人は本当に優しい人だと思う。(もちろん例外はあるが…)

しかし、一方で散々優しさを振りまいて甘やかしてばかりの人は、怒鳴ったり厳しい事を言う人とは違う別の怖さを感じ取れる人だと考えている。

その怖さとは、

  • 自分がやっている行動が長い目で見て他人にどのような影響を与えてしまうのかを把握できていない怖さ。
  • 自分の行動を振り返れない。反省ができずに他人に優しさを振りまき続けて新たな犠牲者を生み出してしまう怖さ。

と表現できる。

怒るといった、五感に訴えかけるわかりやすい怖さではなく、勘のいい人には理解できる静かな怖さといえばいいだろうか。

 

相手に関心をしっかり持てる人こそ、甘やかす人ではなく優しい人になれる

最後に、私は相手に対してしっかり関心が持てる人こそ、相手を甘やかすことのない優しい人になれると考えている。

相手のこと…それも、相手の将来や人生といった深い次元や先の部分まで考えられる人は、適度に優しさをコントロールできる。つまり、相手が自分の将来を自分の足で歩いていけるように、キリのいいところで優しさの量を調節できる。

しかし、甘やかしてしまう人はそれができない。相手の将来や人生をどこか自分の手でコントロールできると勘違いしていたり、相手が解決すべき課題を何でもかんでも自分が手伝って解決させてあげることこそが優しさを感じて、過剰に優しくしてしまう。結果、それは甘やかしとなり相手の自立心を阻害してしまうのだ。

甘やかしの場合は他人に関心を持っているように見えて、実は他人に優しくしている自分の方に関心が傾いている。そのことに気づけないと、いつしか優しい人から甘やかす人に陥ってしまうだろう。